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東京の壁────『Wake Up, Girls! 青春の影』感想

Wake Up,Girls!青春の影

 『Wake Up, Girls! 青春の影』をみたので感想。

 アイドルの祭典での活躍が評価され、メジャーデビューと東京進出を果たしたWake Up, Girls! 。だがその道行きは前途多難…。一方、アイドルの頂点、I-1clubも人気に陰りが出てきており、グループを割っての対抗戦という新機軸を打ち出そうとしていた。

 2015年公開の劇場版前編で、テレビシリーズの直接の続編。作画がかなり不安定だったテレビシリーズと比べるとさすがに持ち直しているが、前編ということもありダンスシーンなどの見せ場はやや物足りない尺で、消化不良感もある。これは後編とあわせて一つの作品ということでもあるのだろうが。しかし冒頭の「7 Girls War」は尺こそ短いもののテレビシリーズのクライマックスでみせたものと比べてかなり洗練されていて、劇場版への期待を煽るには十分。しかしこの前編ではその期待が十分に成就しないという問題はあるのだが…。

 職業上の、あるいは人としての倫理観が欠けた大人たちが次々出てくるのはテレビシリーズから変わらず。この作品世界には、問題があるがWUGをサポートしてくれる大人か、問題があるしWUGの足を引っ張る大人しかいない。結局問題のある大人しかいないので困る。ほとんどの大人が『SHIROBAKO』の茶沢並みの不快感を喚起するのは逆にすごい。今回登場した、大手レコード会社の社員のふるまいなどもろ茶沢かと思うし、番組のMCをつとめる芸人は見た目のフリークスのようで、作り手の良識を疑う。この露悪によってリアリティを担保しようとするのは『Wake Up, Girls!』を貫くトーンではあるが、やはり稚拙な手段だと感じた。

 地方から上京したアイドルが東京の壁にぶち当たる、というストーリーライン自体はリアリティがあると思うし、自分たちを見出してくれた仙台のテレビ局との関係などあっさり清算されてしまうが、そのあたりのディテールを詰めて地方と東京の葛藤を浮かび上がらせてくれれば、よりおもしろくみることができた気がする。

 

 

 

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