『mono』をみたので感想。大変よかったです。
高校入学早々、部長の牧之原に惹かれ、写真部に入部した雨宮さつき。一年後、牧之原の卒業によって意気消沈していた雨宮だったが、同じく部員の霧山アンの激励で心機一転、360°カメラをネットオークション購入して活動に励もうとするのだが、肝心のカメラがなかなか届かない。カメラの売り主を訪ねて、ずぼらな漫画家、秋山春乃と知り合いになり、また写真部廃部の危機を乗り越えるため、映画研究部と合併して元映画研究部員の敷島桜子も加わって、新生したシネフォト部として日々を送っていくのだった。
『ゆるキャン△』のあfろによる漫画作品のアニメ化。アニメーション制作のソワネは『ヤマノススメ』制作スタッフが独立して立ち上げたスタジオで、初の元請作品。監督の愛敬亮太は『呪術廻戦 懐玉・玉折/渋谷事変』に副監督としてクレジットされていて、今回が初監督作品となる。そうしたフレッシュな制作体制が画面にもにじみ出ていて、全体として軽やかで楽しいアニメになっている。360°カメラやアクションカムを使った場面の演出は結構物珍しく、みていて楽しかった。
同原作者の『ゆるキャン△』と雰囲気は相似形、舞台も同じく山梨県周辺で、同時期に同じような趣向の漫画を同時に連載するあfろの筆には素朴に驚かされるところがあるが、キャンプにフォーカスをあてた『ゆるキャン△』に対して、この『mono』はもっと幅広に小旅行というかレジャー全般を楽しむような趣向になっていて、また高校生に加えて大人たちがレギュラーメンバー的なポジションにある点で異なっている。
おもしろかったのがその大人たちを含め旅のメンバーが結構アドホックな感じで入れ替わることで、このあたりの采配の妙は『ゆるキャン△』とも通じるかもしれないが、主人公であるさつきが不在だったり、妙に存在感ある漫画家の先輩がゲスト的に登場したり、「いつメンで駄弁る」感じが薄くて、それがお話にささやかな変化をもたらしている。
そのことはよい意味での散漫さにつながっていて、(『ゆるキャン△』と比べてさらに)ゆるい感じがこのアニメをかなり心地よいものにしている。自治体のイベントに参加してスタンプラリー的な行動をしてみたり食べ歩きをしてみたり、またスケートボードでダウンヒルをやってみたり、どこまで実際に原作者のあfろの経験がもとになっているのかはわからないが、山梨県周辺というトポスもあいまって、実際の経験の血が通っている、よい意味でのローカル感あふれる雰囲気も魅力である。実際に足を運んでみたくなる場所も多く、視聴しながらメモしたりしてみたので、旅行のたびに思い返すようなアニメになったらいいなあと思う。


