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「残念の時代」の記憶────アニメ『僕は友達が少ない』感想

僕は友達が少ない (MF文庫J)

 『僕は友達が少ない』をみたので感想。

 聖クロニカ学園に転校してきた高校2年の羽瀬川小鷹は、母親譲りの金髪もあって周囲に警戒され、1月経っても友達ができず、クラスで浮いた存在になっていた。ある日の放課後、自分と同じくクラスで孤立している仏頂面の美少女、三日月夜空が楽し気に話しているのをみかけたことで、彼女に巻き込まれる形で友達作りを目的とする部活動、「隣人部」に所属することになるのだが…。

 平坂読による同名ライトノベルのアニメ化。原作は2009年から刊行され、このアニメ1期の放映は2011年。『このライトノベルがすごい!』2011年版では作品部門で2位を獲得するなど、当時は広い支持を得ており、おぼろげな記憶ではアニメも結構みている人が多かった気がする。批評家のさやわかは(わたくしの記憶が確かなら)『10年代文化論』のなかで、2010年代のカルチャーを特徴づけるタームとして「残念」を摘出していたが、それを象徴する作品の一つといっていいだろう。

 2010年代前半のライトノベルでは、この『はがない』と並んで渡航『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』が多くの読者を得ていたように思うが、どちらも人付き合いを不得手とする男子高校生が美少女に巻き込まれて奇妙な部活に加入して活動することになる、という相似形の構造をもっている。

 とはいえ『はがない』と『俺ガイル』のトーンは全然違っていて、キャラクターの内心という謎を解く、いわばトリックなきミステリ的なドラマを展開させる『俺ガイル』に対して、この『はがない』は奇矯なキャラクターのかけあいを楽しむコメディ。エキセントリックなキャラクターたちは確かに友達をつくるのは難しいだろうなと妙に納得させられてしまうところがあり、そのコミュニケーションが不得手ゆえの滑稽な振る舞いが、共感的羞恥を招かない程度に誇張・戯画化されて提示されるので、おおむね楽しい。このあたりの手つきのバランス感覚が、広く読者を得た理由なのかもしれない。原作者の平坂読はのちに『変人のサラダボウル』を書き、それもアニメ化されているが、エキセントリックなキャラクターたちのコミュニケーションは彼のお家芸といってもいいのかもしれない。

 一方で、アニメとしての魅力はといえば、原作イラストをつとめるブリキのタッチをアニメに落とし込むことは相当難儀だったのだろうと苦労を感じさせるが、記号的ではあるがキュートなキャラクターデザインに収まっている。相応の期待作だったろうとおもうのだが、画面はそれほどリッチではなく、15年という時間の残酷さを感じなくもない。同年放映の『魔法少女まどか☆マギカ』や『Fate/Zero』なんかがいまみてもまったく見劣りしないのと比べると、明らかにひと昔前のアニメやなという画面になっている。それは比較対象が悪すぎるだけなんだとわかってはいるが…。それだけ、近年のテレビアニメのクオリティのアベレージがあがっているということでもあると思うが、「残念の時代」の記憶をとどめたこのアニメ、いまみて十分おもしろいかというと、なかなか難しいわね。