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書割とキャラクターのあいだ────『IS 〈インフィニット・ストラトス〉』感想

IS<インフィニット・ストラトス>1 (オーバーラップ文庫)

 『IS 〈インフィニット・ストラトス〉』をみたので感想。

 女性しか操縦できないパワードスーツ、「インフィニット・ストラトス(IS)」の登場で、女尊男卑が進行した世界。IS操縦者を養成する女性だけの学校に、なぜか男性にもかかわらずISを起動できる織斑一夏が入学し、騒動を巻き起こしてゆく。

 弓弦イズルによるライトノベルのアニメ化。放映は2011年。あの『魔法少女まどか☆マギカ』と同一クールである。監督は『マクロスF』の菊地康仁、アニメーション制作はサテライトから独立したエイトビットで、これが初の元請作品だった。

 強化外骨格というか、パワードスーツ的なインフィニット・ストラトスは3DCGで描写されるが、『創聖のアクエリオン』や『マクロスF』などで3DCGのロボット描写の蓄積のあるサテライトの流れを汲んでいるだけあって、さすがに手堅いつくり。銃弾飛び交い剣を交える空中戦がハイスピードで展開され、また作画で描かれる生身のキャラクターが描写されるカットとの接続も巧みで、いまみてもチープな感じはせず洗練を感じる。

 一方で、女性キャラクターは異様に惚れっぽく、織斑一夏に猛烈アピールしてくるが、1クールのなかで一人のキャラクターが深く掘り下げられる前に転校やなんやかんやでせわしく新キャラクターが登場するので、ハーレムものでもかなり軽薄な部類に感じられる。主人公の一夏は顔立ちが整っていてモブキャラも含めほとんどの女性キャラクターに好意を向けられるが、常軌を逸した鈍感・朴念仁ぶりを発揮するさまは不自然で、キャラクターとして魅力的に造形されているとは言い難い。放映当時は『機動戦士ガンダムSEED』ほどとは言わないまでも毀誉褒貶のあったシリーズと記憶しているが、当時もくさされていたこのあたりの下世話な欲望を安易に充足させていくような舞台設定は、品がいいとは到底いえない。

 救いになっているのは(というか放映当時も擁護派の大きなよりどころ)豪華な声優陣であることは明白で、日笠陽子、ゆかな、井上麻里奈、下田麻美、花澤香菜と、よくこれだけ当時勢いのあった女性声優をキャスティングできたものだと驚く。ヒロインたちは書割的で記号的に属性を付与された道具のような印象で、キャラクターとしての魅力に乏しいが、それでもこれだけのキャストによって魂を吹き込まれるとぎりぎりのところで「キャラが立つ」感じはある。

 このあたりのキャラクター造形の拙劣さ、主人公の魅力の乏しさは、たとえば現代のライトノベルの上澄み(『負けヒロインが多すぎる!』とかね。しかし同レーベルからは『千歳くんはラムネ瓶のなか』みたいないびつな暴力性を感じる作品も猛プッシュされているし『負けイン』が外れ値なのかもしれないが)と比べると雲泥の差。原作は未完のまま放擲され、いまでは顧みられることもほとんどないといっていいシリーズだが、まあそれも仕方ないかなという感じがする。

 

関連

2010年代落穂拾いみたいな感じで人気だったシリーズをみていこうかなというモチベーションでいくつかみています、さいきん。この『IS 〈インフィニット・ストラトス〉』とくらべると『僕は友達が少ない』のほうがめっちゃキャラ立てがうまくて、原作者の力量の差を強く感じたのだった。

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