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宇宙、日本、練馬

映画やアニメ、本の感想。ネタバレが含まていることがあります。

『ゴモラ』 イタリアの闇を告発する

映画

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 マッテオ・ガローネ監督『ゴモラ』を見た。イタリアの犯罪組織カモッラに関わる人びとの人生を、5人の人物に焦点を当てて描いた映画。パッケージに、シティ・オブ・ゴッド×ゴッドファーザーという煽り文があって、それが気になったのでレンタルして視聴。いやー、この煽りは結構詐欺だと思いますよ。『シティ・オブ・ゴッド』とは犯罪組織に翻弄される少年、チンピラたちを群像劇的に描く、みたいなところで共通点はあるけど、結局全然違う感じの映画だと感じました。『ゴッドファーザー』はただネームバリュー的に言ってみた感ありあり。

 『シティ・オブ・ゴッド』は、スラムに生きるチンピラ達の人生を、あくまで娯楽作品として見せているように思う。あっさりと人の死を描き、凄惨な街の様子を写すけれども、その背景にはそれでもたくましく生きる人間たちがいて、全体のトーンは明るい。主人公周りの人間模様は青春映画っぽいし、主人公のメタ的な立ち位置が映画をあくまで娯楽作品にしているように思う。

 『ゴモラ』の描くイタリア社会は、ひたすら残酷で暗い。気がめいるほど暗い。人は突然銃で撃たれて死ぬ。そこにはドラマはなく、人はこうもあっさり死ぬのだという実感だけがある。『シティ・オブ・ゴッド』のように、ある種メタ的な立場にいる人間もいないから、人間模様とそれが織りなす悲劇に救いがあるようには思えない。

 本作の原作『死都ゴモラ』は、ノンフィクションのようなので、その精神に忠実に映画化したんだろうなあ、と推測する。カモッラの犯罪行為は結構地味というか、犯罪映画っぽい派手さはない。産業廃棄物の不法投棄の様子を丹念に描いた映画ははじめてみた。その一見地味な犯罪が、イタリアの一部の人間を確実に苦しめていることもきちんと提示される。ドンパチだけではなくて、そういう地味な犯罪を真摯に描写している。確かに、カモッラの恐ろしさと、そんな社会で生きざるをえない人間の苦しみは伝わってきた。イタリア社会の暗部を告発しようとする姿勢を伝える気などまったくないような、「シティ・オブ・ゴッド×ゴッドファーザー」みたいな陳腐なコピーは、全くこの作品に似つかわしくない。

 

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