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大英帝国の後始末―『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』感想

Mission: Impossible - Rogue Nation - O.S.T.

 

 『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』を字幕版でみました。うひょー楽しー!!!っていうのがすべてだと思うので取り立てて感想書かなくてもよいかなとか思ってたのですが一応記録ということで書いときます。

 

 IMFの超絶有能スパイ、イーサン・ハントはその存在すら確証がない犯罪組織「シンジケート」を追っていたが、まさにその敵に捕えられてしまう。一方その頃アメリカ本国では、度重なる綱渡り的活動の代償として、イーサン属するIMFが解体を命じられてしまう。前作同様(いつものごとく?)孤立無援の状況に陥ったイーサンを助けるのは、敵か味方か、「シンジケート」に潜入捜査を試みている謎の美女イルサ。イーサンはアメリカからも追われる状況で「シンジケート」を倒せるのか?


映画『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』ティザー予告映像 - YouTube

 この予告編のクライマックスで流れる飛行機飛び乗りアクションがアバンタイトルでいきなり出てきてビビる。こんなもんは序の口ですよと言わんばかりの冒頭から察せられるように、ゴージャスな見せ場てんこ盛りで超楽しい。今作のキーパーソンである女スパイ、エルサの格闘アクションはすげースタイリッシュだし、モロッコのいろは坂のバイクチェイスは手に汗握る。ベンジーはじめとする仲間との呼吸も心地よくあっていてひたすら楽しい。

 中でもウィーンの劇場でオペラ『トゥーランドット』をバックに暗殺阻止をもくろむシークエンスが際立って好きです。何重にも張り巡らされた暗殺者の魔の手を如何に振り払うのか?という極限状況の中で最善手を瞬間見つけ出してみせる、あの一瞬の快感が素晴らしかった。「トゥーランドット」の旋律は作品のなかでところどころ顔を出すわけですが、そのせいもあってか、作品全体になんとなく上品な雰囲気が漂っているような気がします。同じシリーズもののスパイ映画でたとえるなら、さながら名匠サム・メンデスの手になる『スカイフォール』の如く。

 『スカイフォール』といえば、なんとなくお話が似通ってるなっていう。イギリス政府(関係者)のまいた種が意図せぬ形で芽吹いたことが深刻な事態を招いてしまうという構図が。それを刈り取るのがイギリス自身か、それともアメリカか。『ローグ・ネイション』でも諜報機関はイギリスのほうが一枚上手っぽく描写されているような印象があって、それはやっぱり007リスペクトなのかなとかちょっと思ったり。まあ結局はイーサン一味がいいとこ持っていっちゃうわけですが。

 そのイーサンはトムさんの圧倒的なオーラ力のせいもあってジェームズ・ボンドと肩をならべるくらい魅力的だと思うんですが、敵の造形は、うーん、あんまりという感じが。シリーズ全体的にそういう印象ですが。何考えてるのかイマイチわからないソロモン・レーンくんも、序盤はそれが大変不気味で魅力的なんですが、最後までよくわからん感じだと、ねえ。俗物ってわけじゃもちろんないけど、狂気にかられた正義の確信犯にふり切れてるわけでもないという印象。レーンくんよくわからん。また『スカイフォール』の話になりますけど、情念に突き動かされた復讐者シルヴァはすごい好き。

 まあ007も敵の造形しくってるやつはイマイチな感じありますけども。最近だと『慰めの報酬』のしまらなさはやっぱり敵役のしまらなさだと思う。そう考えると敵役が一貫してぱっとしないにも関わらず面白い『ミッション:インポッシブル』は流石というべきか。いや3のフィリップ・シーモア・ホフマンとかアバンから外道全開で好きなんですけどね

 敵役はともかくヒロイン・イルサは最高でした。このシリーズで唯一単体でトムさんと張れたキャラだったんじゃないすかね。とにかく大変楽しかったです。

 

 

 

 

【作品情報】

‣2015年/アメリカ

‣監督:クリストファー・マッカリー

‣脚本:クリストファー・マッカリー

‣出演