宇宙、日本、練馬

映画やアニメ、本の感想。ネタバレが含まていることがあります。

2023年の回顧(と展望)

2023年、人生上の大事件があり、すごかったですね。

でもなんとか生きているし、よかった。

昨年のはこちら。

2022年の回顧(と展望) - 宇宙、日本、練馬

2023年新作映画ベスト10

  1. 『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』(マーティン・スコセッシ監督)
  2. 『フェイブルマンズ』(スティーヴン・スピルバーグ監督)
  3. 『君たちはどう生きるか』(宮﨑駿監督)
  4. 『アリスとテレスのまぼろし工場』(岡田磨里監督)
  5. 『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』(ホアキン・ドス・サントス、ケンプ・パワーズ監督)
  6. 『怪物』(是枝裕和監督)
  7. 『BLUE GIANT』(立川譲監督)
  8. 『首』(北野武監督)
  9. 『アステロイド・シティ』(ウェス・アンダーソン監督)
  10. 『北極百貨店のコンシェルジュさん』板津匡覧監督)

 2023年を振り返ってみて、大きな印象を残した映画トップ3がいずれも巨匠とよばれる監督の作品だったことに、結構素朴に驚いています。『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』は3時間半超の超長尺で、見終えたときは相当ぐったりしていた気もするのだけれど、しかし振り返ってみるとそんな長い映画だったような気はもうしないのが不思議。独自の信念や確固たる哲学、美学とは無縁で、悪のカリスマではまったくない、素朴な金銭欲に突き動かされた男たちがいともたやすく隣人たちを手にかけ死体の山を築く。とんでもないことが淡々と起こっていくことの不気味さに打ち震えました。

 そんな我々の現実を異化するようなスコセッシの新作に対して、スピルバーグ監督の自伝的作品である『フェイブルマンズ』は、これだけ名声を勝ち得た作家が、しかし映画そのものが現実に対していかに無力であったかを語る、アンチクライマックス性に満ちた作品だったことは大きな驚きだった。『レディ・プレイヤー・ワン』の結部、「現実に帰れ」といわんばかりのメッセージに鼻白んだのはわたくしだけではなかろうと思うが、この『フェイブルマンズ』を撮った作家にとって、そうした決着は必然だったのだと思い知りました。映画の無力さ、あるいは有害な強力さを描いたうえで、それでもそこには輝く瞬間があるのだと謳いあげた、見事な作品でした。

 一方、宮崎駿の最新作『君たちはどう生きるか』もまた、虚構の世界のはかなさ、しかしそれゆえにもつ不朽のきらめきのようなものが結晶化していたような気がする。正直、鑑賞した直後はわたくしこの作品を必ずしも高く買っていなかった(だって『もののけ姫』や『千と千尋の神隠し』のほうが圧倒的にすごいじゃん!)んだけれど、散歩していて川べりにアオサギとかの姿を見るにつけ、この映画のことが想起されたりして、そういう意味での求心力のでかさに、遅まきながら気づいたようなところもあります。

 虚構世界の終焉というモチーフは、奇しくも岡田磨里の『アリスとテレスのまぼろし工場』にもわかち持たれていた。押井守『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』の現代的な変奏ともとれるこの映画は、永遠に続いていく灰色の日常、その終着点としての世界の終わり、そしてその先を描き切った、岡田なりのセカイ系への別れの手紙のようにも思えた。『凪のあすから』でははるか先へと繰り延べされていた「世界の終わり」と真っ向から対峙し、フィクションの価値を擁護してみせた剛腕ぶりを、わたくしは高く買いたい。

 近年もスクリーンで大活躍を続けるスーパーヒーロー、スパイダーマンを主役にした『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』もまた、虚構世界とキャラクターとのあいだの葛藤、緊張関係が主題になったわけだが、そうしたストーリーラインは措くとしてもとにかく煌びやかな映像体験がとびぬけてすばらしかった。前作もアニメ映画史におけるエポックだったが、それをさらに洗練、進化させた、見事な作品でした。一方『BLUE GIANT』は3DCGの拙劣さには目を覆いたくなったが、しかしそれを帳消しにしてあまりあるサウンドの迫力で強烈な印象を残した。スタンダードナンバーではなく新曲で、ここまでジャスのかっこよさを伝えられたというのがすごすぎる。原作を脚色してタイトにまとめた手際もお見事でした。

 『怪物』も音楽でめちゃくちゃ作品の格があがっていて、坂本龍一の過去の作品を参照していることで耳なじんだエモーショナルな旋律が随所でかかるものだから、いたく心を揺さぶられました。

 巨匠といえば北野武もまたその域にあると思いますが、『首』はめちゃくちゃうまく力を抜いたなと思って、相当楽しかったです。9位、10位はもう僅差で、入れてないけど『対峙』もすげえ心揺さぶられたし、『イニシェリン島の精霊』もいれたかったんだが、人生をなんとかやっていくこと自体を祝福するような『アステロイド・シティ』『北極百貨店のコンシェルジュさん』を選びました。

 以上!

 

 

2023年劇場でみた映画まとめ

劇場でみたのは31本。『鬼太郎誕生』とか『窓ぎわのトットちゃん』とか、みにいきたいね…。

自宅視聴まとめ

  • 『モンタナの目撃者』(テイラー・シェリダン監督、2021年)
  • 『カポーティ』(ベネット・ミラー監督、2005年)
  • 『ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌』 (須田裕美子、芝山努監督、1992年)
  • 『ハケンアニメ!』(吉野耕平監督、2022年)
  • 『フリーソロ』(エリザベス・チャイ・ヴァサルヘリィ、ジミー・チン監督、2018年)
  • 『プラダを着た悪魔』(デヴィッド・フランケル監督、2006年)
  • 『サタデー・ナイト・フィーバー』(ジョン・バダム監督、1977年)
  • 『続・激突!/カージャック』(スティーブン・スピルバーグ監督、1974年)
  • 『最後まで行く』(キム・ソンフン監督、2014年)
  • 『ゼイラム』(雨宮慶太監督、1991年)
  • 『アメリカン・ユートピア』(スパイク・リー監督、2021年)
  • 『思い、思われ、ふり、ふられ』(黒柳トシマサ監督、2020年)
  • 『リバティ・バランスを射った男』(ジョン・フォード監督、1962年)
  • 『はりぼて』(五百旗頭幸男・砂沢智史監督、2020年)
  • 『ラ・ジュテ』(クリス・マルケル監督、1962年)
  • 『人狼』(キム・ジウン監督、2018年)
  • 『タクシー運転手 約束は海を越えて』(チャン・フン監督、2017年)
  • 『Air/エアー』(ベン・アフレック監督、2023年)
  • 『カポネ』(ジョシュ・トランク監督、2020年)
  • 『アナザーラウンド』(トマス・ヴィンターベア監督、2020年)
  • 『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』(増井壮一監督、2019年)
  • 『東京2020オリンピック SIDE:A』(河瀬直美監督、2022年)
  • 『東京2020オリンピック SIDE:B』(河瀬直美監督、2022年)
  • 『パーフェクト・ワールド』(クリント・イーストウッド監督、1993年)
  • 『ワイルドバンチ』(サム・ペキンパー監督、1969年)
  • 『戦争のはらわた』(サム・ペキンパー監督、1977年)
  • 『駅馬車』(ジョン・フォード監督、1939年)
  • 『恐怖の報酬』(アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督、1953年)
  • 『ブラック・フォン』(スコット・デリクソン監督、2021年)
  • 『太陽がいっぱい』(ルネ・クレマン監督、1960年)
  • 『北国の帝王』(ロバート・アルドリッチ監督、1973年)
  • 『東京オリンピック』(市川崑監督、1965年)
  • 『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!FILE-01【口裂け女捕獲作戦】』(白石晃士監督、2012年)
  • 『あのこは貴族』(岨手由貴子監督、2021年)
  • 『ブラックアダム』(ジャウム・コレット=セラ監督、2022年)
  • 『怒り』(李相日監督、2016年)
  • 『幕末太陽傳』(川島雄三監督、1957年)
  • 『台風クラブ』(相米慎二監督、1985年)
  • 『東京流れ者』(鈴木清順監督、1966年)
  • 『リバー・ランズ・スルー・イット』(ロバート・レッドフォード監督、1992年)
  • 『鷲は舞いおりた』(ジョン・スタージェス監督、1976年)
  • 『殺しの烙印』(鈴木清順監督、1967年)
  • 『バットマン リターンズ』(ティム・バートン監督、1992年)
  • 『けんかえれじい』(鈴木清順監督、1966年)
  • 『デスペラード』(ロバート・ロドリゲス監督、
  • 『ラブ&ポップ』(庵野秀明監督、1998年)
  • 『炎のランナー』(ヒュー・ハドソン監督、1981年)
  • 『マリアンヌ』(ロバート・ゼメキス監督、2016年)
  • 『ワーテルロー』(セルゲイ・ボルダンチュク監督、1970年)

メモした限りでは49本(含再見)。

2023年にみたアニメ

 振り返って、アニメぜんぜんみてないやん!と思ってビビったんですけど、これ『いだてん』みてたからだな…。

2023年の10冊

各月のまとめ

読書メーターさんによると、2023年に読んだ本は112冊のようです。にゃるほどねえ。

 

2024年はちゃんと腰入れて文章を書けるといいですね!