dアニメストアで『おいら宇宙の探鉱夫』をみました。以下、感想。
2060年代。人類の宇宙進出もすすみ、小惑星の資源採掘もおこなわれている未来。パイロットをめざす少年、南部牛若だが、検定試験中におもわぬ事故に遭遇してしまう。
1994年から翌95年にかけて発表されたOVA。全6巻予定のところ2巻で打ち切りの憂き目にあってしまったが、そうそうたるスタッフが参加し、ちょうど今年の2月にBlu-ray版も発売されるなど、まさに隠れた名作という感じか。もっとも、ストーリーは山田芳裕の未完の傑作『度胸星』もびっくりのぶつぎりなので、「隠れた名作」になり損ねた作品と形容するのが適切かもしれない。
さて、のちに『カウボーイビバップ』に携わることになる川元利浩によるキャラクターデザインは魅力的で、全体のくたびれた宇宙関係の背景描写は同作と親近性を強く感じる。このあたりの力の入りようは『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』なんかも想起するが、さすがOVAという感じ。打ち切りは予算面のこともあるのかしら。そう考えると今川版『ジャイアントロボ』は一応の完結をみてほんとうによかったね。
作品評については氷川竜介によるものがネットで参照できて、わたくしはここに書かれている以上のことは特にかけない。
が、2023年時点でみておもしろいと思った点がいくつかあるので、書いておきましょう。
無重力空間でのアクションは、実写でこの水準のものをやろうと思ったら20年後くらいになろう (たとえばアルフォンソ・キュアロン監督『ゼロ・グラビティ』に匹敵する…といったら流石に贔屓の引き倒しだろうが)という感じで、アニメという媒体の長所を強く感じた次第。
宇宙生まれの少年と、無重力環境でのアクションは、昨年もっとも鮮烈なアニメの一つだった磯光雄監督『地球外少年少女』を想起したりもした。未完のこの作品の遺伝子はそういうかたちで生きている…のかも。さながら「ホドロフスキーのDUNE」みたいにね。