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高さと身体────『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』感想

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 『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』をみて感想を書かずにいたので、簡単に書いておきましょう。

 最新鋭のAIを搭載したロシアの原子力潜水艦が、不意の事故で沈む。どうやら自己運動し始めたAIが自らを沈めたらしい。各国の諜報機関のコンピューターにも侵入を果たしたというこのAIを捕捉し利用するため、地下ではさまざまな勢力がうごめいていたが、IMFのイーサン・ハントもまた、独自に動きはじめていた。

 『ミッション:インポッシブル』の最新作。『トップガン・マーヴェリック』の成功を経て、この年齢になってますます輝きを増す恐るべき大スター、トム・クルーズが八面六臂の大活躍。2時間半超の長尺の大部分を手に汗握るアクションないしサスペンスが占めており、その重厚長大ぶりにこちらの緊張がむしろ持続しなくなるほど。

 その場その場のアクションのゴージャスぶりは半端ではなく、予告で惜しげもなく披露している大害絶壁からのバイクでの投身すら、数ある見せ場の一つに過ぎないのだから恐れ入る。しかし高所恐怖をあおる場面の多さは、トム・クルーズという生身が意識されるがゆえにサスペンスとして機能している気もして、このあたりはまさにスターのもつ強度やなと思う。まさに峡谷に落下しようとする列車から脱出を試みるシークエンスは『アンチャーテッド』(ゲームのほうね)を想起したりもした。

 敵役のイーサイ・モラレスの不気味な存在感も見事で、お話はまあパート2に続くのだが、満足感(と疲労感)に満ちたよい時間でした。