宇宙、日本、練馬

映画やアニメ、本の感想。ネタバレが含まていることがあります。

2023年1月に読んだ本と近況

1月はマジでばたばたしていたのであった…。

先月の。

2022年12月に読んだ本と近況 - 宇宙、日本、練馬

 

印象に残った本

一冊選ぶなら円城塔『文字渦』。これぞ円城!という衒学奇天烈ぶりに脱帽!デビュー作とならぶ快作では。

読んだ本のまとめ

2023年1月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:2146ページ
ナイス数:64ナイス

https://bookmeter.com/users/418251/summary/monthly/2023/1

 

■映画からの解放―小津安二郎麦秋』を見る (河合ブックレット)
 『帰ってきた映画狂人』に収められているので本文は再読ということになるが、やはり蓮實重彦による蓮實重彦入門としてはこの講演がベストなんじゃないか、という気がする。これをもっとアクセスよくするべきよ。河合塾講師の石原開の解説もお見事…だがいま読むなら『ユリイカ』の蓮實重彦特集で足りるという気もする。
読了日:01月09日 著者:蓮實 重彦
https://bookmeter.com/books/950756

 

■忘却にあらがう 平成から令和へ
 主に隔週発刊の雑誌連載の時評を所収。時事問題への言及にさほど刺激があるわけではないが、取り扱われる物事を驚くほど忘れていることに気付かされ、タイトルにもあるようにそれが本書の意義の一つなのだろう。しかし平成を終え、地味にできることだけやっていくと宣言する「平成という病」の末尾にものかなしさを感じるのはわたくしだけではないだろう。
読了日:01月12日 著者:東浩紀
https://bookmeter.com/books/19951095

 

■冷血 (新潮文庫)
 アメリカの片田舎で起こった一家惨殺事件を追ったルポルタージュ。丹念に事実を積み重ね、まるで見てきたかのように語りつつ、しかしその語り手である自身は完全に消去する恐るべき技巧。しかしその消去された作家にフォーカスして『カポーティ』を撮ったベネット・ミラーはまじでえらいわ。
読了日:01月17日 著者:トルーマン カポーティ
https://bookmeter.com/books/555534

 

■文字渦
 自己運動し始める文字をめぐる連作短編。デビュー作の「わかるようでわからない、しかしなにか得体の知れないものが生成されていることはわかる」という感触が、より洗練されたかたちで立ち現れている、という感じで、いま振り落とされずにいるのか、それともこの文字列たちはわたくしの思考の範疇をとっくに越え出ているのではないか、そういう読み味がえもいわれぬ、円城塔ここにあり!という一冊ではないでしょうか。
読了日:01月26日 著者:円城塔
https://bookmeter.com/books/12958270

 

■ショットとは何か
 我々の目や言葉を容易にすり抜けて、しかし確かにそこに屹立する映画を捉えようと試みる。蓮實重彦にとって映画を既知のものとみなし、それを捉えきっているという思い上がりが透けてみえる語りはすべて論ずるに値しないのだろうと思うが、ドゥルーズ『シネマ』一刀両断とか、『殺し屋ネルソン』への偏愛ぶりとか、口述だからか老齢からか、その美学が剥き出しになっているのがおもしろかった。
読了日:01月26日 著者:蓮實 重彦
https://bookmeter.com/books/19626101

 

■宗教の世界史 (ミネルヴァ世界史〈翻訳〉ライブラリー)
 原題を直訳すると『世界史のなかの宗教』。叙述は通史的ではなく、宗教と政治、宗教と平和…等々、トピックごとにキリスト教イスラーム、仏教がどのようなものとして立ち現れてきたのかを概説する。本書がインド以東の宗教に対して理解が雑駁であることを指摘する訳者解説は良心的。
読了日:01月31日 著者:ジョン・C・スーパー,ブライアン・K・ターリー
https://bookmeter.com/books/20434511

 

■辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦
 著者それぞれが関心を持った本を持ち寄り対談する。『ゾミア』、バトゥータの『大旅行記』などなど、わたしたちのいま・ここを相対化するような本が多くて面白く読みました。
読了日:01月31日 著者:高野 秀行,清水 克行
https://bookmeter.com/books/12712881


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近況

さよなら多摩川 - 宇宙、日本、練馬

 

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