宇宙、日本、練馬

映画やアニメ、本の感想。ネタバレが含まていることがあります。

2023年10月に読んだ本と近況

ようやく人間が快適に暮らせる気温になってきたわね。

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2023年9月に読んだ本と近況 - 宇宙、日本、練馬

印象に残った本

一冊選ぶなら『万物の黎明』でしょう!久しぶりにいかつい本を読みました。

読んだ本のまとめ

2023年10月の読書メーター
読んだ本の数:9冊
読んだページ数:3534ページ
ナイス数:120ナイス

https://bookmeter.com/users/418251/summary/monthly/2023/10

 

ハサミ男 (講談社文庫)
 連続猟奇殺人犯、ハサミ男。次のターゲットを物色してまさに犯行に及ばんとした時、その女子高生はまるでみずから惨殺したかのような死体となっていた。模倣犯を追うハサミ男ハサミ男を追う警察、そして驚くべき真実。叙述トリックなのだろうなと警戒して読み進めたが仕掛けは読めず!思わせぶりな二重人格で気を引いておいて、むしろ自己評価のおかしさを仕掛けを隠す道具にするとは…。いやはや、楽しんで読みました。
読了日:10月04日 著者:殊能 将之
https://bookmeter.com/books/576602

 

■天冥の標 2 救世群 (ハヤカワ文庫JA)
 遠い未来の外宇宙での出来事を描いた前巻とは打って変わって、現代を舞台にしたパンデミックの惨禍がモチーフになる。小松左京復活の日』と比べると、コロナ禍の経験を経てなお古びていないのが素晴らしい。検査のために新宿御苑に詰めかける人々、感染者の収容所と化した国立競技場などのビジョンの鮮烈さ!大変おもしろく読みました。
読了日:10月15日 著者:小川 一水
https://bookmeter.com/books/580763

 

■万物の黎明 人類史を根本からくつがえす (翻訳)
 我々をとりまく「文明」は、あるいは社会のしくみは、別様にもあり得たかもしれない。そのようなオルタナティブの可能性を、考古学や人類学の知見を縦横無尽に引用しながら、西洋近代につながる文明や国家でない仕方で、大規模な社会集団の生活が営まれていたことを示す。そうした常識破りのために無数のディテールを積み上げていくような叙述スタイルで、率直にいって厳つい本である。久しぶりに分厚い本を読んだ!という充足感に浸っています、素朴に。

読了日:10月17日 著者:デヴィッド・グレーバー,デヴィッド・ウェングロウ
https://bookmeter.com/books/21564535

 

■教養としての建築入門-見方、作り方、活かし方 (中公新書 2764)
 建築を「見る」「作る」そして「活かす」という視点から捉え、それぞれの基本的なことを教えてくれる入門書。ライトな書き振りで極めて読みやすいのがありがたい!藤森照信の本なんかは、やっぱり建築史の人だからだと思うんですけどいつも一捻り加えてある気がするので、このレベルで率直に基礎の基礎を説いてくれる新書って意外となかったのかも。特に序盤の建築史の概観みたいなパートが有益な感じで、西洋哲学と建築史との関連はにゃるほどにゃんねという感じでした。
読了日:10月19日 著者:坂牛 卓
https://bookmeter.com/books/21363950

 

キリスト教と近代の迷宮
 この手の対談にしては珍しく、二人のあいだにめっちゃ険悪な雰囲気が流れてそうな箇所がいくつかあるのがおもしろ!
読了日:10月20日 著者:大澤 真幸,稲垣 久和
https://bookmeter.com/books/12736294

 

■〈知〉の取扱説明書
 学問にかかわるスタンスや勉強法について説く。語学の勉強の話は耳が痛かったが、たしかにリスニングして書き取るのはすごい学習効果高かったよなと思い返す。古典を読む効用とか頷くことしきり。しかしほんとうにツイッターとかいうSNSは世の中を悪くしているわね。
読了日:10月21日 著者:仲正昌樹
https://bookmeter.com/books/19592161

 

■この30年の小説、ぜんぶ ; 読んでしゃべって社会が見えた (河出新書)
 震災後からコロナ禍まで、およそ一年ごとに行われた対談を所収。トーンは災後だがひとつ平成を総括するようなテーマの対談があって、それでこのタイトルになっている。あとがきで斎藤も語っているように、実作者の高橋と批評の側の斎藤の目線の違いがおもしろい。しかしプロレスとはいえ斎藤が高橋のスタンスに遠慮なくツッコミを入れていくのは小気味がよかったです。
読了日:10月26日 著者:高橋源一郎,斎藤美奈子
https://bookmeter.com/books/18908117

 

クォンタム・ファミリーズ
 売れない小説家にして大学教員の男が、生まれてこなかったはずの娘からメールを受け取り、量子コンピュータの発展によって生じた並行宇宙の迷宮に誘われる。わたくし自身も年を重ねて再読すると、「あり得たかもしれない可能性」の堆積みたいなものがより切迫性をもって感じられた。今年公開された『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』と世界の見方が重なるところもあると思うんだけど、ここに普遍性への回路が見出せる…のかも。
読了日:10月27日 著者:東 浩紀
https://bookmeter.com/books/558300

 

世界が土曜の夜の夢なら ヤンキーと精神分析 (角川文庫)
 横浜銀蝿やらのいかにもヤンキー然としたやからはもとより、白洲次郎からキムタク、橋下徹らに通底するポピュラリティを得たものたちに通底するものをヤンキー性と名指し、精神分析的な発想でそれらを分析する。ヤンキーたちの気合いとその中身の空白に、いまだったらキングコング西野なんかがまさしくヤンキーの精神性の象徴なのかもと感じた。
読了日:10月30日 著者:斎藤 環
https://bookmeter.com/books/9802658

 

近況

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