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英雄よさらば!────『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』感想

【映画パンフレット】インディ・ジョーンズと運命のダイヤル 監督 ジェームズ・マンゴールド 出演 ハリソン・フォード、

 『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』をみました。以下、感想。

 1969年。アメリカ合衆国では人々が宇宙飛行の夢に酔う中、インディアナ・ジョーンズはひっそり定年退官を迎えていた。息子をベトナム戦争で亡くし、妻にも去られ、近所の若者たちからはうるさいじいさまの一人といったていで扱われるその姿には、かつて世界中を駆け巡ったヒーローの面影はなかった。そんななか、亡き旧友の娘が突然現れ、かつてナチスとのあいだで争奪戦を繰り広げたアルキメデスの遺物、「アンティキティラのダイヤル」をめぐる陰謀に巻き込まれることになる。

 『クリスタル・スカルの王国』以来、15年越しのインディ・ジョーンズシリーズの最新作にして、おそらく最後の作品。監督は『ローガン』でもスーパーヒーローの最期を看取ったジェームズ・マンゴールドスティーブン・スピルバーグは製作に名を連ねるのみ。

 冒頭、第二次世界大戦中から始まり、往時のインディ・ジョーンズの活躍を描いてしまうあたり、現代のテクノロジーのすさまじさを感じたりするが、それは1969年との落差を強調する効果を生んではいる。『クリスタル・スカルの王国』の時点で相当「がんばっている」感が出てしまっていたハリソン・フォードだが、この『運命のダイヤル』ではその「がんばってる」感が出ないようにかなり注意が払われていると感じて、キャラクターも俳優も年老いてはいるが、それほど痛々しさを感じなかったのは意外だった。アクションのスタイリッシュでなさはむしろかつてのシリーズのオマージュのようにも感じられるしね。

 しかし、「運命のダイヤル」をめぐる仕掛け(アルキメデスが必要としたのはタイムマシンではなく救援を呼ぶ装置だった!)には素朴にびっくりしたし、しかもそれが見事に効果を発揮してしまう展開には大きな驚きがあった。最後だし、いやしかしこのレベルでそこが抜けてもいいんだという異様な鷹揚さ。というわけでおもしろくみました。