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きっと彼を憶えてる――『劇場版 STEINS;GATE 負荷領域のデジャヴ』感想

「映画チラシ」 劇場版 Steins;Gate 負荷領域のデジャヴ  声 宮野真守、花澤香菜、関智一、今井麻美、後藤沙緒里、小林ゆう、桃井はるこ、田村ゆかり

 Netflixで『劇場版 STEINS;GATE 負荷領域のデジャヴ』をみました。シュタゲは原作プレイ・アニメ版視聴済ですが、無数のメディアミックス作品はノータッチという感じで、なんというか作品自体はとても好きなのだけれど諸々の展開に蛇足感を感じていなくもなく、みたいな感じで、映画も今まで見てこなかったのですが、この機会に見れてよかったのかも。以下感想ですが、今映画館で上映されている他作品のネタバレが不意に飛び出す恐れがありますのでご注意ください。

  無数の選択と時間遡行とを繰り返し、誰も死なない唯一の世界線、シュタインズゲート世界線に辿り着いた狂気のマッドサイエンティスト鳳凰院凶真こと岡部倫太郎。しかし、時間遡行と過去改変とを繰り返したことで、彼の身のうちに蓄積された負荷が彼を苛む。時折フラッシュバックする、ありえたかもしれない惨劇の記憶。そして彼は消え、誰も彼のことを憶えていないR世界線へと知らぬ間に世界はずれてゆく。誰もその男を知らない世界で、牧瀬紅莉栖は彷徨する。まだ出会っていない、しかしほんとうは出会っているはずの彼を観測するために。

 アニメ版『STEINS;GATE』の後日談として語られるこの劇場版は、「岡部倫太郎が紅莉栖を救う」という本編の趣向をそのまま裏返したような、牧瀬紅莉栖が岡部を救うために奔走するというお話。それが立場を変えた反復以上のものであるのは、彼らが(そしてアニメ版を視聴していたわたしたちも)蓄積してきた経験とその記憶があるからで、その記憶がかけがえのないものであるがゆえに、牧瀬紅莉栖の想いは確固たるものになる。その意味で、この映画だけで自己完結するような作品にはなっていないというか、なんというか原作ないしアニメ版を見た人向けに特化したような作品であるという印象。それがいいとか悪いとかはおいといて。

 一見した印象としては、ドラマが本格的に動き出す(岡部が消える)までの時間がなんとなく長く感じたり、上映時間は長くないのにやけにゆったりとした感じを受けました。そのなかで展開されるラボメンのその後の姿とか、まあ楽しくないではないんだけれども、『STEINS;GATE』のおもしろさってそういうところよりも、サスペンス的な方向にあるんじゃないかと僕は思うので、ちょっとかったるかった。

 それと僕は『STEINS;GATE』はゲーム版のエンディング、二人の前にただ無数の可能性だけが残り、彼らの未来自体は宙づりにされている、そういうラストが非常に好きなので、アニメ版のオリジナルの挿話もはっきりいって蛇足と感じたりした人間で、もうお前この劇場版みるなよって感じですが、そういう人間を殴りつけて屈服させるぐらいのパワーを求めてもいて、ですがはっきりいってそういう映画ではなかった、という気がする。

 しかしシーン単位では印象の残るようなところがいくつもあって、とりわけ、二人だけしかいない街に、だんだんと雑踏が聞こえだし、やがてそのなかに二人も消えてゆくようなラストシーンはよかった。こういうラストの『STEINS;GATE』があってもいい、と思えるくらいに。このラストのおかげでなんというかかなり印象がよくて、不思議と悪くない気持ちです。

 

 で、それはそれとして、いまこのときに視聴したがゆえに、なんというかバイアスがかかってしまったなーというのがあって。抗いがたい忘却という宿命のなかでも、忘れたくないもの、忘れてはならないものがある、そういうモチーフで『君の名は。』を想起せざるをえなくて、見ている最中気もそぞろという感じでした。ごめん。


 それとこれも他作品の連想なんですが、シュタゲ本編を『涼宮ハルヒの消失』とするなら映画は『涼宮ハルヒの追想』という感じ。『消失』と比べて『追想』の知名度はいまいちだと思うので補足しておくと、キョンが未来の朝比奈さんに使命を託され再び『消失』世界、すなわち西高に涼宮ハルヒがいない、超常現象も存在しない世界に送られ、そこで問題解決をする、という趣向のアドベンチャーゲームが『涼宮ハルヒの追想』なんですが、これがなかなかよいゲームなんですよ。

 細部は忘却の彼方なので結論だけ述べると、『追想』が語るのは「どんな世界だろうがSOS団のメンバーは出会うことができるのだ」ということで、『消失』の「キョンの選択」というところではなく、涼宮ハルヒという人間の強烈な磁力によって集まるべき人間が集まる、というドラマ部分の価値をより強調するようなお話になっているわけです。その意味で『涼宮ハルヒの消失』は『涼宮ハルヒの追想』というゲームによって語られなおしたと僕は思うんだけれど、同様にシュタゲも、一回はアニメ化によって、そして2度目は趣向を若干変えてこの映画によって語られなおしたのかなと、そんなことを思ったりしました。はい。

 


 

 

 

 

 

 

  この正統続編も未プレイなんですよねー。まあいずれやる時がくるのかもしれないし、こないかもしれない。

 

【作品情報】

‣2013年

‣監督:若林漢二

‣総監督:佐藤卓哉浜崎博嗣

‣原作: 志倉千代丸/MAGES./Nitroplus

‣脚本:花田十輝

‣キャラクター原案:huke

‣キャラクターデザイン・総作画監督坂井久太

‣音楽:阿保剛、村上純

‣アニメーション制作:WHITE FOX

‣出演

 

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