元気です。
先月の。
印象に残った本
『青い花』、オールタイムベスト級の衝撃でした。
読んだ本のまとめ
2018年9月の読書メーター
読んだ本の数:15冊
読んだページ数:4500ページ
ナイス数:179ナイス
https://bookmeter.com/users/418251/summary/monthly

- 作者: テリー・イーグルトン,マシュー・ボーモント,大橋洋一
- 出版社/メーカー: 青土社
- 発売日: 2012/02/09
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 9回
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■批評とは何か イーグルトン、すべてを語る
批評家イーグルトンが、その知的遍歴を語ったインタビュー。イーグルトンに適切な質問を投げて回答を引き出すインタビュアー、またハイコンテクストなやりとりを十分に理解できる形に訳出してくれた訳者の技量に脱帽。マルクス主義者として一貫しつつも時々で批評の調子が変化していった感じが伺えておもしろかったです。
読了日:09月01日 著者:テリー・イーグルトン,マシュー・ボーモント
https://bookmeter.com/books/4641202

「読まなくてもいい本」の読書案内:知の最前線を5日間で探検する (単行本)
- 作者: 橘玲
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2015/11/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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■「読まなくてもいい本」の読書案内:知の最前線を5日間で探検する (単行本)
複雑系、進化論、ゲーム理論、脳科学、功利主義の五つのトピックについて、現代においてそれぞれが強い影響力を持つことになった理由を、研究史を概観しつつ語る。荒木優太さんが好意的に言及していたので読んだのだけど、これは確かに書名で損をしているなと思う。脳科学のあたりに顕著な、ある種の反知性主義(大学の権威に基礎付けられた既存の「知性」へのアンチという意味で)が鼻に付くし、学部生なんかが読んだら大いなる勘違いを誘発しそうだなとは思いましたが。
読了日:09月01日 著者:橘 玲
https://bookmeter.com/books/10103075

- 作者: 横溝正史
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 1973/04/20
- メディア: 文庫
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■本陣殺人事件 (角川文庫)
先行する海外の作品が明示的に言及されるのでなんとなくメタ探偵小説の趣が。なぜこんな複雑なトリックを...→犯人は複雑なトリックの探偵小説を読んでいたのです!!!っていうの身もふたもなくていい。本を読む殺人者というモチーフといい数奇な一族という舞台装置といい、クイーン『Yの悲劇』への目配せを感じる。
読了日:09月05日 著者:横溝 正史
https://bookmeter.com/books/553880
■大人のための社会科 -- 未来を語るために
社会の分断が進むいまここで、いかに社会を担う<私たち>を立ち上げていくのか。この問題意識だけ取り出すと総力戦体制論とかを想起してしまうのだけど、著者たちの専門を活かして社会を語る言葉をひとつひとつ丁寧に取り上げていく語りが啓発的でよい本でした。とはいえ。余計な心配ですが、いまここに寄り添い過ぎていて賞味期限が短くなってしまっているのでは?という気も。しかし本書が賞味期限切れになることは、むしろよいことなのかもしれません。
読了日:09月06日 著者:井手 英策,宇野 重規,坂井 豊貴,松沢 裕作
https://bookmeter.com/books/12167005

【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛 (新潮選書)
- 作者: 池内恵
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2016/05/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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■【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛 (新潮選書)
主に第一次世界大戦期の中東情勢を概説しつつ、それが現代にいかに波紋を投げかけているかを語る。サイクスピコ協定のせいにすればいいってわけじゃない、という冒頭の挑発通り、ロシアやトルコとの関係性からクルド人問題まで、現代の中東の危機の複雑さを啓蒙してくれるよい本でした。
読了日:09月07日 著者:池内 恵
https://bookmeter.com/books/10914650
■青い花 6巻 (F×COMICS) (Fx COMICS)
身長のちがい、好きのかたちのちがい。
読了日:09月09日 著者:志村貴子
https://bookmeter.com/books/3078600

- 作者: 横溝正史
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 1971/03/30
- メディア: 文庫
- 購入: 4人 クリック: 62回
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■獄門島 (角川文庫)
名探偵が瀬戸内海の島に、戦地から災厄を持ち帰る。敗戦直後の混沌とした空気、見立てをめぐるゲームの面白さ、そしてそれらが全く意味をなさないという虚無。海外の探偵小説を咀嚼して見事に当時の日本に探偵的なるものを立ち上げた傑作だと思います。
読了日:09月14日 著者:横溝 正史
https://bookmeter.com/books/564502
■FOOL on the SNS―センセイハ憂鬱デアル
明月堂書店のウェブサイトの連載をまとめたもの。ピープルvs.仲正先生といった趣で、インターネットでなされる自著ないし自身への適当言及に対して強烈な反批判を返す。インターネットの適当な人々のアカウント名がウェブ上と同じく普通に出てくるので迫力があります。
読了日:09月16日 著者:仲正 昌樹
https://bookmeter.com/books/12124030

町村合併から生まれた日本近代 明治の経験 (講談社選書メチエ)
- 作者: 松沢裕作
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/11/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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■町村合併から生まれた日本近代 明治の経験 (講談社選書メチエ)
明治期の町村合併を、境界的な権力と無境界的な市場との緊張関係ないし相互依存的な関係から読み解き、日本近代的なるものが立ち上がるさまを跡づける。町村合併をめぐる諸制度の成り立ちは結構複雑で、いかに一般向けに概説してくれているとはいえ理解するのは難しい気がするが、それでも本書が読ませるのは権力と市場という二つの概念が軸に、実に手際よく構図が整理されているから。大変面白く読みました。
読了日:09月16日 著者:松沢 裕作
https://bookmeter.com/books/7478423
■青い花(7) (エフコミック) (Fx COMICS)
井汲京子さんの陰影!
読了日:09月16日 著者:志村貴子
https://bookmeter.com/books/5143722
■青い花(8)(完) (Fx COMICS)
ほんとに大事なものは10年や20年なんて軽く飛び越えてくれるものなのですよ、きっと。そういうものを探して、過ぎ行く時間を私たちはたゆたうのです。
読了日:09月16日 著者:志村貴子
https://bookmeter.com/books/7142308
■恐怖の作法: ホラー映画の技術
ホラー映画(制作)論を実作の経験をもとに語る第1部、ネット怪談から恐怖の原理的なありようを考察する第2部、その後実作から離れた著者が自身の理論を総括する短い第3部からなる。ホラーが面白いのはそこに人間の本質的な部分が現れるからだ、という趣旨のことを荒木飛呂彦が語っていたように思うのだけど、やっぱホラーというジャンルの深みみたいなものはそこにあるのかなという気がする。とりわけ第2部を面白く読みました。
読了日:09月23日 著者:小中 千昭
https://bookmeter.com/books/8016727
■疾風怒濤精神分析入門:ジャック・ラカン的生き方のススメ
ラカンの入門書で、「わかった感じ」が最も深いのは本書だなあと思います。精神分析という実践の位置付けから始まり、象徴界、想像界、現実界など理論的な部分も手際よく整理されていてありがたい。それでいて、我々の「生き方」に深く関わるある種の倫理学としても読めるような構成になっていて、「ジャック・ラカン的生き方のススメ」の副題に偽りなしです。
読了日:09月23日 著者:片岡 一竹
https://bookmeter.com/books/12179995
■世界最高のクラシック (光文社新書)
名指揮者たちの残した名盤を取り上げ、世界最高のクラシックを紹介する。著者の思い入れを隠そうともしていないところが本書の魅力で、小澤征爾をすっと流したかと思えばその四倍の紙幅でチェリビダッケを語っているあたりに全てが現れている。なんというか指揮者のスタンスみたいなものを簡明に紹介していて、率直に勉強になりました。
読了日:09月25日 著者:許 光俊
https://bookmeter.com/books/442371
■聖家族(上) (新潮文庫)
妄想の東北の円環の中を、連綿と続く血の運命に突き動かされた孫たちあるいは兄弟たちが疾駆する。語りのギアが支離滅裂に変速するのが非常に楽しい。上巻は弟が冒頭の場所にたどり着いた(であろう)ところで幕。下巻も楽しみに読みます。
読了日:09月26日 著者:古川 日出男
https://bookmeter.com/books/7879918
近況
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