『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』をみて感想書かずにいたので、落穂ひろい的に書いておきます。
アフリカ大陸に位置し、驚異的な技術力を誇るワカンダ王国。覆面のスーパーヒーロー、ブラック・パンサーとして世界のために戦った国王ティ・チャラは病に倒れ、残された王族たちは超技術をねらう先進国の陰謀との戦いを迫られていた。そんななか、ワカンダと同じくヴィブラニウムの技術をもつらしい、海中からの来訪者があらわれて…。
マーベル・シネマティック・ユニバースの30作目にして、フェイズ4のラストを飾る作品。この作品によって、ポスト『エンドゲーム』的な喪失との対峙こそがフェイズ4の主題だったのだなと改めて感じさせる。
この『ワカンダ・フォーエバー』は予告がなによりすばらしかった。ボブ・マーリー「ノー・ウーマン、ノー・クライ」のカバーが響く中で示唆される、喪失と再生の神話…。
だが予告がよすぎるのも考えもので、予告でも使われているはっとするカットは随所にあるものの、二時間半の長尺もあって全体の印象は散漫。冒頭の葬儀は必然としても、劇中でもう一度それを挿入するのはさすがに美しくないだろう。
チャドウィック・ボーズマンの死を引き受けた作劇を評価すべきなのはそうかもしれないが、それが主題化されることはわかりきっているはずで、むしろある種のミュージックビデオである予告編でそれは尽くされているのでは、とも。
アフリカと中南米とを接続する構図はよかったと思うが、もうちょいスマートに作劇できたような気もするし…。みてから時間がたって、もう予告編の鮮烈な印象に実際の映画の記憶が負けている。申し訳ないね。