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復讐者の気迫───『劇場版 Gのレコンギスタ Ⅳ 激闘に叫ぶ愛』感想

劇場版『Gのレコンギスタ Ⅳ』「激闘に叫ぶ愛」(セル版)

 『劇場版 Gのレコンギスタ Ⅳ 激闘に叫ぶ愛』をみたので感想。

 ベルリたち海賊部隊一行は、クレセント・シップに乗り込み、金星の軌道上にあるコロニー群、ビーナス・グロゥブを目指す。そこでは、急進派のジット団が、地球への回帰をめざす「レコンギスタ」をまさに実行せんとし、ベルリたちを待ち構えていたのだった。

 『ガンダム Gのレコンギスタ』の劇場版5部作の4作目。公開は2022年。この4作目は、金星でのジット団との攻防を経て、ビーナス・グロゥブの総裁、ラ・グーとの会見によって「レコンギスタ」をめぐる陰謀が明らかになり、地球圏に帰還してアメリア、キャピタル・アーミー、ドレッド艦隊がスコード教御神体であるカシーバ・ミコシをめぐって争う混沌とした状況へとベルリたちが介入するまでが描かれる。

 前3作と同様、次々と小競り合いがおこって状況が動き、ドラマが進行していく語りはスリリング。TVシリーズと比べてわかりやすくなっているかといわれればかなり微妙だとは思うが、そのTVシリーズの作劇の魅力の核心部分は劇場版でも継承されている。2クールを劇場版5部作にしているので削っている部分が少ないが故のこともあるとは思うが…。

 この4作目は、金星のコロニーでのジット団との攻防、そして「絶対兵器」ともよばれるG-セルフの新武装フォトン・トルピードを使った結果、甚大な被害を巻き起こし動揺するベルリと、仲間を殺され怒りに燃えるマスクとの対決が大きな見せ場になっている。とりわけ後者は、意識的に太い描線で描かれた新規シーンの印象が鮮烈で、巨大なカシーバ・ミコシ周辺でG-セルフに追いすがるマックナイフは、全編通して躍動するモビルスーツ同士の戦闘にあって、ひときわ輝いていた。

 超越的なテクノロジーをもった宇宙からの武装勢力が地球降下を試みる…という構図は、富野由悠季監督による『∀ガンダム』と相似形。しかし、200歳近いというビーナス・グロゥブの総裁、ラ・グーが語る、宇宙環境に適応するなかで突然変異し、見方によっては虚弱化しているようにも思える人類と、それに危機感を覚え、闘争を促すことによって人類の強靭化を図ろうとするクンパ・ルシータ大佐=ピアニ・カルータの計画、というのは新機軸で、あらためておもしろいと感じた。

 ここからさらに各勢力の思惑が交錯し最終決戦となるわけですが、視聴が楽しみです。

 

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