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宇宙、日本、練馬

映画やアニメ、本の感想。ネタバレが含まていることがあります。

良知力『青きドナウの乱痴気』を読んだ

読書

  

青きドナウの乱痴気―ウィーン1848年 (平凡社ライブラリー)

青きドナウの乱痴気―ウィーン1848年 (平凡社ライブラリー)

 

  良知力氏の『青きドナウの乱痴気』を読了。本書はウィーンにおける1848年革命を、下層民にスポットを当ててディティール豊かに描写し、ウィーンにおける革命は単にブルジョア市民革命ではない、プロレタリアートも少なからざる役割を演じたのだと力強く主張する。社会史の傑作との誉れ高い本書であるが、恥ずかしながら、以前に読んだときはあまりおもしろさが分からず中途で投げ出してしまった。しかし改めて読んでみると、良知氏が史料から再構成した1848年当時のウィーンのディティールに圧倒され、知的興奮を喚起されながら夢中で読み進めてしまった。

  本書の魅力、素晴らしさはなんといっても良知氏が生き生きとえがく、当時の民衆の風俗だろう。100年以上前の、しかも海外の都市に生きた人びとの生活の様子が、これほどまでに詳細に再現されていること、それ自体に大変な驚きを覚えた。あとがきでウィーン市内の書店で当時の新聞や檄文、回想録などを収集したとさらりと書いてあるが、その収集の苦労と、そこから事実を再構成していく際の苦労は想像を絶するものがあっただろうなと思う。

 また、単にそれが描写のための描写というか、単に当時の人々の生活を写して、はいおしまい、となっていないのもすごい。当時の人々の貧しく、苦しい生活の様子は「革命」という要素に凝縮して結実し、貧しい下層民の姿に支えられた革命像は、既存の革命像を揺るがすに至っている。この、ディティール豊かな実証と大きな問題意識の絶妙な接合は、俺も意識していかないとなと思う。良知氏のような超高度な次元にたどり着かなくとも。

 

 

向う岸からの世界史―一つの四八年革命史論 (ちくま学芸文庫)

向う岸からの世界史―一つの四八年革命史論 (ちくま学芸文庫)

 

 

 

思想史と社会史の弁証法―良知力追悼論集 附・良知力コレクション目録

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