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フォースの外へ――『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』感想

【チラシ付き、映画パンフレット】ハン ソロ スターウォーズ ストーリー  限定版

 『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』を字幕版でみました。以下感想。

  遠い昔、遥か彼方の銀河系。惑星を牛耳るマフィアにこき使われ、日々犯罪に精を出して生きる青年、ハン。彼は目指していた、ここではない、どこかを。

 若きハン・ソロを主役とした『スターウォーズ』シリーズのスピンオフ。『最後のジェダイ』の感触がいまだ生々しいこのタイミングでの公開は、いささか分が悪いのではと思わないではないが、ロン・ハワード監督の手によって現代的でウェルメイドな娯楽映画になっていたように思います。シーンとシーンのあいだを結構大胆にカットして退屈を許さない編集がその「現代の娯楽映画」的な印象をとくに強めている。2時間20分あまりの短くない時間を退屈せず楽しめました。

 さて、いままでの『スターウォーズ』がそうだったように、若きハン・ソロの物語も、「何処か遠く」に行きたいと願う若者の物語であり、それこそがこの銀河系で主人公たる条件なのだなあと思ったわけですが、これまでの『スターウォーズ』シリーズとの最も大きな違いは、やはりフォースの重力圏から遠く離れた場所で、物語が語られたことのように思う。

 スピンオフとしては前作にあたる『ローグ・ワン』もまた、それまで作品世界の外にいた名もなき兵士たちを主役に据えたという点で、この『ハン・ソロ』に近しい精神性があったわけですが、彼らはまた、「フォースとともに」戦うものでもあった。その意味で、フォースという言葉が名もなき兵士の血を吸ってその陰影を深めた一方で、この世界はフォースの重力に強く規定されているのだな、という感も強まった。そして名もなき兵士の物語は、必然的にスカイウォーカーの物語に合流して幕を閉じた。

 一方この『ハン・ソロ』において、フォースという言葉は物語のなかに居場所を見出すことなく(とはいえ最終盤でその影が強烈に登場しもするのだが)、この世界のアウトローどもは自身のハッタリと運のみを頼りに生きているのだと私たちは知った。それでスターウォーズの銀河の外延はさらに広がったんじゃん、と思いました。はい。

 

 

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  「先に撃ってた」よ、よかったっすねという気持ち。

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  その意味で、魔法世界をホグワーツから解き放った『ファンタスティックビースト』と結構似てるよね、と思ったりしました。

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【作品情報】

‣2018年/アメリ

‣監督:ロン・ハワード

‣脚本:ジョン・カスダン、ローレンス・カスダン

‣出演