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拳に宿る10年の重み――『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』感想

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー (吹替版)

 『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』をみて約3か月が過ぎましたが、感想を書いときます。

  『アイアンマン』から10年。マーベル・シネマティック・ユニバースはその10年のあいだに幾人ものヒーローをスクリーン上に創造し、そのたびごと世界は救われた。しかし、この最強の敵を前に、ヒーローは世界を救うことができるのだろうか。

 MCU19作目。最強の敵、サノスによるカタストロフを阻止するため、ヒーローたちは決死の戦いに挑む。もはやシリーズ自体の構成力を総動員してクライマックスに向かうのだという宣言ともいえる冒頭の鮮烈なシーンに始まり、10年の時を重ねて力を得たヒーローたちと、かつてない最強の敵との戦闘が繰り返される。なぜスーツを着るだけで、暗闇から立ち現れるだけで、彼らはこうまで鮮烈なのか。それはヒーローたちの一挙手一投足に、10年の重みが宿っているからにほかならない。

 しかし、その重みと対峙する、あまりに強力なサノスの拳にもまた、10年の重みは宿っている。多数を救うために少数の犠牲を容認するという、ヒーローが否応なしに背負う呪いの極限が、サノスの野望そのものなのだから。その意味でも、サノスは最後の敵にふさわしい。ヒーローたちがその呪いをいかにして打ち破るか、それこそがこのシリーズシリーズに賭けられた問いだろうと、思う。