パソコンが壊れ、いたくショックでした。
先月の。
印象に残った本
一冊選ぶなら、佐藤亜紀『戦争の法』でしょう。「独り楽しんで、沈黙せよ」!
読んだ本のまとめ
2019年5月の読書メーター
読んだ本の数:14冊
読んだページ数:5264ページ
ナイス数:148ナイス
https://bookmeter.com/users/418251/summary/monthly
■学校では教えてくれない! 国語辞典の遊び方 (角川文庫)
岩波、新明解、ベネッセ等々、国語辞典のそれぞれの特色やら国語辞典そのものの魅力について語ったエッセイ。本の構成が基礎日本語辞典の宣伝か?という印象なのはご愛嬌で、特に国語辞典業界のなんとなくの歴史(なぜ新明解国語辞典が画期的だったのか?)みたいなのは非常におもしろいなあと思いました。文献案内も充実で、啓蒙的でグッドです。
読了日:05月01日 著者:サンキュータツオ
https://bookmeter.com/books/11203268
■妙な塩梅 (中公文庫)
平成初期に書かれた日常エッセイ。義兄の葬式をめぐる挿話だったり、死にかかわる文章のウェットな、それでいて深刻になりすぎない語り口がよいなと思いました。
読了日:05月05日 著者:えのきど いちろう
https://bookmeter.com/books/387787
■ナポレオン四代-二人のフランス皇帝と悲運の後継者たち (中公新書)
フランス革命ののち、皇帝位についたナポレオン1世から始まるナポレオン四代の伝記。本書の特色は2世から4世までを扱い、ナポレオンをめぐるイメージの流布と変遷に目配りがあるところのような気がする。とりわけナポレオン3世に対する目線はやさしい感じがし、世論を味方につけて皇帝位についたが故に、その世論のままに不利を悟っていようが対独戦争に踏み切らざるを得なかった、という点がなんというか皮肉であるなあと思いました。
読了日:05月06日 著者:野村 啓介
https://bookmeter.com/books/13451372
■新世界より (上)
「呪力」とよばれる超常の力が当たり前に存在する、現代日本に似た、しかし決定的に異なる世界。箱庭のごとき世界のなかで好奇心のままに恐るべき世界の秘密に触れてしまう少女少年たちの運命は。世界の輪郭や手触りが次第に明らかになっていく感覚がスリリングで一気に読みました。
読了日:05月08日 著者:貴志 祐介
https://bookmeter.com/books/573598
■新世界より(中) (講談社文庫)
一人また一人と消えてゆく旧友たち。
読了日:05月10日 著者:貴志 祐介
https://bookmeter.com/books/1971687
■新世界より(下) (講談社文庫)
少女たちによるこの素晴らしき世界を覆す革命の予感をまとって始まった物語は、自由を求めるものたちを徹底的に殺戮する反革命の物語へと転じ、しかもその反革命に強烈に感情移入させられてしまうというグロテスクな仕掛けが見事。我々の誇るこの良心が、いともたやすく我々と彼らとのあいだに線を引き無限の残酷さを招き寄せるというあまりに酷薄な事態に慄く。語りとディテールの巧みさで古典的な構図に新しい血を注入した傑作娯楽小説ではないかと思います。
読了日:05月10日 著者:貴志 祐介
https://bookmeter.com/books/1972099
■歴史修正主義とサブカルチャー (青弓社ライブラリー)
90年代から影響力を強めた歴史修正主義。それがどのように駆動してきたのか、その言説の実践と内部のロジックを明らかにしようとする。専門家ではなくアマチュアこそがほんとうに物事をわかっていのだ的な論理、そして事実関係ではなく党派性こそが「正しさ」の根拠となるという倒錯。本書の分析は確かにそうだと感じさせるが、むすびにあるように、それとどう向き合うべきなのかと考えだすと暗澹たる気分になってきます。
読了日:05月11日 著者:倉橋 耕平
https://bookmeter.com/books/12673007
■辞書になった男 ケンボー先生と山田先生 (文春文庫)
NHKで放映されたドキュメンタリー番組の書籍化。三省堂から出版されている『三省堂国語辞典』と『新明解国語辞典』。各々異なった個性を持つ二つの国語辞典の来歴を、その生みの親たる見坊豪紀、山田忠雄の決別と友情の物語とともに綴る。新明解に書き込まれた「一月九日」の謎が明らかになっていく様は見事なミステリ小説のようであり、辞書の語釈にそれぞれの人生の物語を読み込んでいく語りがとにかく読ませます。
読了日:05月12日 著者:佐々木 健一
https://bookmeter.com/books/11079068
■日本の一文 30選 (岩波新書)
なんか読んだことあるなーとページをめくっていたのですが、読書メーターさんによると2年半前に読んでたみたいです。リッチな文章とは何か、ということについて教えられたなあという気持ち。
読了日:05月16日 著者:中村 明
https://bookmeter.com/books/11167285
■ハイデガー哲学入門──『存在と時間』を読む (講談社現代新書)
『存在と時間』を読むにあたって、素人が座右に置くべき本を一冊選ぶとしたら間違いなく本書だと思う。『存在と時間』の構成に沿って、ハイデガー独特の造語がどういう意図で使われているかを、ドイツ語のニュアンスまで含めて解説してくれるのが本当にありがたい。本書の歴史上の意義や、つっこみが想定される箇所なんかも適宜補ってくれるのでマジで勉強になりました。
古東『ハイデガー 存在神秘の哲学』なんかもよい本だと思います。こちらは哲学するぞッ!という気合が満ち満ちた一冊だった気がする。
ハイデガー=存在神秘の哲学 (講談社現代新書)
読了日:05月16日 著者:仲正 昌樹
https://bookmeter.com/books/9923445
■流れよわが涙、と孔明は言った (ハヤカワ文庫JA)
大喜利だよなー。テキストサイト的大喜利の手触り。
読了日:05月21日 著者:三方 行成
https://bookmeter.com/books/13604667
■メタボラ (文春文庫)
記憶を失った男が、宮古島出身の軽薄な男と出会い、沖縄をさまよい歩く。男二人の道行きはそれぞれの地獄めぐりのような感があって、ディテールの積み重ねによってじっとりとした迫真性をまとっている。それにしてもラストの情景のかなしい美しさよ。
読了日:05月25日 著者:桐野 夏生
https://bookmeter.com/books/4039600
■全ロック史
翻訳調の生硬な文体。乱れ飛ぶ固有名詞。文章の大半はジャンル名とバンド名の継ぎ接ぎで構築されていて、歴史叙述というよりは時系列的に配されたカタログの趣。
残酷な言い方をするなら、本書は歴史を語ることに無残に失敗しているように思う。岡田『西洋音楽史』のようなすぐれた歴史叙述と引き比べるのは酷かもしれないけれど。
読了日:05月25日 著者:西崎 憲
https://bookmeter.com/books/13450360
■戦争の法 (文春文庫)
N※※※県がソヴィエト連邦と共謀し日本から分離独立を企てる。突如戦争状態に突入した日本の片隅で、少年が自身の生を生き尽くそうと試みる。回顧録の形式で綴られる物事のディテールの積み重ねの力によって、架空の歴史の架空の出来事がまさにそこで生きられたかのように感受されるのは、まさしく小説の勝利ではないかと思う。戦争の法を生き、その外では十全に生き尽くすことのできないやつばらの姿が鮮烈に目に焼きつく、めちゃくちゃな傑作です。
読了日:05月31日 著者:佐藤 亜紀
https://bookmeter.com/books/575761
近況
来月の。