密ではありませんでした。
先月の。
印象に残った本
一冊選ぶなら法月綸太郎『ふたたび赤い悪夢』。わたくしは書くよ。
読んだ本のまとめ
2020年4月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:1917ページ
ナイス数:81ナイス
https://bookmeter.com/users/418251/summary/monthly
■生きづらい明治社会――不安と競争の時代 (岩波ジュニア新書)
努力すれば成功する→失敗する人間は努力が足りないから、という「通俗道徳の罠」の支配する明治社会の人々の苦しみを平易に記述する。安丸良夫の仕事の偉大さに改めて頷くことしきりでした。
読了日:04月04日 著者:松沢 裕作
https://bookmeter.com/books/13116995
■パニック・裸の王様 (新潮文庫)
鼠の大群が街を襲う表題作、菓子メーカーの栄枯盛衰を書く「巨人と玩具」、スポイルされた御曹司に絵を描かす「裸の王様」、秦の始皇帝の長城建設を主題にした「流亡記」の四篇を収める。いずれも巨大なシステムの有形無形のプレッシャーが摘出されている点が、いかにも寓話的な印象をそれぞれの作品に与えている。「パニック」の結末は今の我々の心持ちにはやや馴染まない気もするが…。
読了日:04月09日 著者:開高 健
https://bookmeter.com/books/559474
■ふたたび赤い悪夢 (講談社文庫)
『頼子のために』の続編にして、作家=名探偵である法月綸太郎自身が探偵という装置の限界へと思弁を巡らせる、ある種の批評でもある。本書のあと、法月は短くない休暇(休暇と形容するのはいささか礼を失しているかもしれないが)に入ったようだ。それは本書で差し当たって出された結論が、作家をいささかも満足させはしなかったのではないかという気にさせる。その意味で、本書は『頼子のために』とともに偉大な失策の記録なのかもしれない。探偵について書かれる文章は、本書の地平を乗り越えていかねばならないのだろうと思う。
読了日:04月17日 著者:法月 綸太郎
https://bookmeter.com/books/568277
■大系 日本の歴史〈3〉古代国家の歩み (小学館ライブラリー)
小学館から80年代後半に出た通史のシリーズの一冊。本書が扱うのは大化の改新から摂関政治期の端緒まで。本書の語りは東アジアの唐を中心とする国際秩序の文脈のなかで、律令制の導入や仏教の影響などの刺激を受けて日本的なるものが揺らぎつつ彫琢されてゆく様を描く。政治史は無論、仏教史、文学史に通暁した著者の力技を感じる叙述で、しかし素人にもリーダブルでもある、そのような通史でした。
読了日:04月22日 著者:吉田 孝
https://bookmeter.com/books/230022
■五・一五事件-海軍青年将校たちの「昭和維新」 (中公新書 (2587))
五・一五事件の背景とその影響を、海軍軍人とその人脈に焦点を当てて概説する。五・一五事件においてはあくまで大正以来の国家改造という理念が先行しており、犬養毅個人への怨恨が主要因ではなかったこと、政党政治の終焉には昭和天皇の意志が介在していたことなどを史料に基づき丹念に論じる。民間右翼と軍人との複雑な関係、クーデター計画が頓挫しほとんどやけくそともいえる杜撰なテロリズムとして実行されてゆく過程など、特におもしろく読みました。
読了日:04月23日 著者:小山 俊樹
https://bookmeter.com/books/15556658
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