東京流通センターで今日行われました、第20回文学フリマ東京に行ってきました。(一応)東京に住んでいながらこういう同人誌即売イベントに参加したことがなかったので、新鮮で面白かったです。適当に感想を。
ぶらぶらしてるだけで楽しかった
2時ごろから会場をぶらつきはじめ、立ち読みしては会釈してさり、たまにおしゃべりしたりみたいなことを小一時間繰り返しました。面白そうな本はいっぱいあったりしたのですが、お金がないのでどうにもならんかったです。かなしみ。東京のコミュニティバスのガイドブックとか、麻婆豆腐評論とか、そんなニッチなのあるのかよ!という驚きに満ち満ちていて楽しかったです。いや出店なさってる方からしたら立ち読みさせてセールストークまでして買わない、みたいなあんまよくないお客さんという気がします。
ぶらぶらして思ったのは、世の中にはこんなにも、「いろんなことを好きな人」がいるのだな、ということ。バスはともかく、麻婆豆腐好きって言っても本を出すほど好きっていうのは、ちょっと知り合いにはいないきがする。しかもサークル出店って惰性じゃできないと思うんですよ、やっぱり。ブログで文章書くのとはわけが違う。大学のサークル活動はまた別かもしんないですが、好きじゃなきゃ、それも半端じゃなく好きじゃなくちゃやってられないんじゃないかと。
バスの解説本を出していた方は熱心にそこらへんのお話をしてくださって、大変面白かった。準備は大変だけど、時代が移りゆく中で変わっていく、消えていくだろう交通の様子を記録しておきたい、という思いでやってらっしゃるそうで。なるほどなあと思いました。その方の本は買えなかったんですけどね、申し訳ないことに。とにかく、ぶらぶらしているだけで楽しめました。
買った本
買った本はこんな感じです。使ったお金は3000円くらいでした。以下それぞれ、読み次第感想を追記していけたらなあと思います。見出しが文フリのカタログへのリンクになってます。
余白の楽書『余白のR vol.3 特集:東京』
ふると @kei_furuto さん主宰のサークルで、僕も劇場版パトレイバーについての文章「東京 vs. 犯罪者―劇場版『機動警察パトレイバー』における犯罪の位相」を寄稿させていただきました。同人誌に寄稿するのは人生で初めての経験で、紙の本になっている自分の文章をみると、なんだか奇妙な気分です。ふるとさん、あらためましてありがとうございます。
現在公開中の『首都決戦』をにらんだ文章が書けていたらかっちょよかったのですが、まあそんな文章ではなく。『首都決戦』も「東京論」の文脈に位置づけることができるような、できないような。
東京には幽霊が徘徊している―『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』感想 - 宇宙、日本、練馬
文章自体は改めて見直すと結構ぐぬぬという感じなのですが、まあ自分自身の力はこんなもんなんだろうな、と再確認した次第です。
まだざっくりとしか目を通せていないのですが、ふるとさんの『たまこラブストーリー』についての文章「『たまこラブストーリー』に見る「東京」」が印象的でした。ふるとさんの論の本筋とはずれますが、「東京」は明確に言及されているのに、登場人物たちがいる「ここ」の地理上の位置は不確定、というのが面白い。東京と地元の問題系にとって、地元の位置価はそれほど意味がないのかも。『たまこマーケット』自体も未見なので『ラブストーリー』も見れてはいないのですが、一刻も早く見たいです。
小鳥遊『WYSIWYG!』(梟流)
小鳥遊@g_fukurowlさんの青春怪談短編。小鳥遊さんのファンの一人として購入しました。
露悪的な女の子が、ちょっとだけ「いいこと」をして、一歩を踏み出すお話。露悪的な女の子がめっちゃかわいいのですけど、以前いただいた短編集『Liminality』と同じく、先生がまたいいんですよ。生徒にとったら、何考えてんだかわかんない奴なんだけど、どうにも頭が切れるらしい、みたいなね。露悪的な女の子、星尾瑠璃さんは学校空間の論理からはちょっとは自由なんだけども、先生―生徒の関係からは自由でないんですよね。それは青柳先生の不思議なパーソナリティゆえんじゃないかなー、とか。
関連?
小鳥遊さんの影響下で書いた文章はこんな感じです。
たとえ届かなくても、それでも「優しさの理由」が知りたい―アニメ『氷菓』における「謎」の位相 - 宇宙、日本、練馬
折木奉太郎と千反田えるの未来について―『氷菓』についての論点整理 - 宇宙、日本、練馬
女子幻視マガジン『子煩悩』絵:小鳥遊、写真・編:吉田岡(@yoshida_oka)
『WYSIWYG!』と一緒にいただいた、小鳥遊さんのお洒落な絵が吉田岡さんの写真と文とコラボレーションしている小冊子。お洒落で、かわいくて、なんとなくせつなくなったりならなかったり、そんな不思議な本です。
『aBre』vol.12
「青春怪談」という言葉に惹かれて購入。青春分が足りない時に読んで、補給したいと思います。
戸山フロイト研究会『psychA』創刊号
ラカンに関する評論誌。特集の「ラカン派入門書大レビュー」に惹かれて購入。「疾風怒濤精神分析用語事典」も勉強になりそうですな。これでぼくもラカンがちっとはわかるようになるのだろうか。ならない気がする。
すでに読んだ新宮一成『ラカンの精神分析』*1、ジジェク『ラカンはこう読め!』はあんま評価は芳しくなく、ちょうど図書館で借りてきていた斎藤環『生き延びるためのラカン』にいたってははっきり酷評。にゃるほど。僕は斎藤さんの書いた文章って嫌いではないのだけど、プロパーにとったらそうなのね、というのを店番をしていた方とおしゃべりしていても感じました。
本質的にちくらぎ『あみめでぃあ』第2号
twitter上でFF関係だったらららぎさんが関わってらっしゃったので購入。らららぎさんとはリプライを交わしたことは多分なかったと思いますが、つぶやきを楽しく、ときどきぐさっと刺されるような気持ちで読んでおりました。
残念ながららららぎさん自身はそのアカウントを消してしまわれた?みたいですが、何度もつぶやいておられたので印象に残っておりました。息災のようで、よかったです。身元を秘匿しようとして果たせませんでしたが、このブログを読んでくださっていると聞いて正直ビビりました。ビビりながらこの文章を書いています。
中身はとってもハードなかほりがし、僕ごときが読んでいいのかみたいなあれがありますが、楽しみに読ませていただきます。表紙の裏にアントニオ猪木の言葉が書いてあるフセンが貼ってあったんですが、これはあれですか、1冊1冊ごとに違う言葉がかいてあるあれですか。すごい。
無料配布漫画雑誌ビッグシシュー
無料で配布されていたのでついいただいてしまいましたが、本当によかったんですか…?「無料の昼食などというものはない」とハインラインも言ってることですし…。
それはともかく、四コマ、旅行記、小説と、よりどりみどりの内容。そして表紙のザリガニの圧倒的オーラ。つよい。
DAISY CHAIN 製作委員会『DAISY CHAIN』
全くノーマークだったし買うとは思ってなかったんですけど、売り子のお姉さんのセールストークにやられて買いました(失礼)*2。「有名な賞のいいとこまで行ってる人たちが書いてるんですよ!」「おしゃれだし、インテリアとしてもいい感じですよ!」etc…。これが同人誌でよかった。○ッセンの絵とか高価な壺だったら命を落としていた。
エンタメと純文学のごったにみたいな感じらしいので、楽しみに読ませていただきます。
こちらも無料。ありがたいことです。『ハウルの動く城』論を所収。「弱虫」をキーワードとして、『ハウルの動く城』を「ハウルが弱さを承認する物語」として読み解く。にゃるほどな。
以上、こんな感じです。表紙の写真は僕がテキトーにぱしゃっとやったやつなんですが、もし問題などありましたらコメントなどでお知らせいただければと思います。文学フリマ、楽しませていただきました。