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映画やアニメ、本の感想。ネタバレが含まていることがあります。

ヤンキーと萌え——アニメ『東京リベンジャーズ』感想

『東京リベンジャーズ』第2巻 (特典なし)[DVD]

 『東京リベンジャーズ』をなんとなくみていました。以下、感想。

  冴えないフリーターの青年、花垣武道は、中学時代の恋人が反社会勢力・東京卍會の抗争に巻き込まれて亡くなったことを知り、そして不意に自身も駅のホームから突き落とされて殺されてしまった......かにみえたが、なぜか中学時代にタイムリープしてしまう。恋人を死の運命から救うため、中学時代と現在とを行きつ戻りつの戦いが始まる。

 『週刊少年マガジン』連載の和久井健の漫画をアニメ化。監督は『デッドマンズ・ワンダーランド』の初見浩一、シリーズ構成は『機動戦士ガンダムUC』『閃光のハサウェイ』のむとうやすゆき。アニメーション制作はライデンフィルム

 タイムリープで幼いころに戻って悲劇的な運命の回避を目指すという筋立ては三部けい僕だけがいない街』を想起させるが、この『東京リベンジャーズ』はそこに不良マンガ的モチーフを持ち込んで独自色をだそうと試みている。ヤンキー漫画に対して野暮なツッコミではあるが、作品中の東京はあまりにも治安が悪すぎてビビる。ゼロ年代半ばの東京についてわたくしはよう知らんが、こんな治安悪いことある?

 週刊連載ゆえの制約も大きいとは思うが、タイムリープ関係の設定についても勢いでごまかしているような調子があり、ルールも明確ではない。そのルールの不明瞭さがご都合主義を導きはしないかとやや危惧するところではあるが、少なくともアニメ化された2クール分では、現代パートで協力者たちが異様にものわかりがいいことが気になったくらいで、興ざめするほどには目につかなかった。

 ルックの点では、ここぞという場面でお前らなんで棒立ちで傍観してんねん...みたいなシーンが目についてしまうのは残念。わたくしも気合入れてみてないのが悪いんだが、ルックの面で強烈な印象を残す場面はほとんどなかった。とはいえ、とにかく時々で「悲劇の回避」のための課題を設定し、過去回想を随所に挿入してキャラクターを立てることでドラマの勢いを持続させていく語りでなんとなくだらだら見てしまって、これをわたくしは素直に「おもしろい」とは表現したくないのだが、そのようなおもしろさを愛する人は少なくないのでしょう。

 そうしたキャラクターの魅力に拠って立つところの大きいアニメをひとくくりに萌えアニメと形容してよいならば、この『東京リベンジャーズ』は明白に萌えアニメであり、そこを買うかどうかが結局はこの作品に対する評価と直結すると思うのだけど、わたくしはあんまり乗れませんでした。いろんなヤンキーが出てきて「推し」甲斐はあるのかもしんねえけど、ねえ。

 こんなこというの不毛ですけど、結局『僕だけがいない街』のほうが上品かつタイトで優れていると思いました。