『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』をみたので感想。
羽丘女子学園に転校してきた少女、千早愛音は、クライスメイトの高松燈を誘ってバンドを組もうとするが、それをみた燈の旧知の友人、椎名立希は激怒する。どうやら燈と立希はかつてバンドを組んでいたのだが、事情があって解散することになったらしいのだ。それでも、旧バンドのメンバーだった長崎そよ、気まぐれで謎めいた少女要楽奈も加わった5人でバンド活動をすることになるのだが、思惑や秘密を抱えたメンバーが集う、まだ名前もないこのバンドは思いもよらぬ事態を引き寄せてゆく。
現実でのバンド活動とアニメ、ゲームがリンクするメディアミックス作品、『BanG Dream!』シリーズの、2023年に放映された1作。最初のテレビシリーズが2017年放映だから、もう結構息の長いシリーズであるが、わたくしはこれまでまったく接してこなかった。現在放映中でまもなく最終回を迎える『BanG Dream! Ave Mujica』が話題を集めているので、その前作であるこちらを視聴しようと思った次第。
キャラクターは3DCGで描写されるが、止め絵では作画アニメの印象と近いセルルック。このスタイルはバンドが演奏する場面の演出のために選び取られたのではないかと思うのだが、ルックの上ではよくも悪くもなく…という印象。ついこの前みた『ガールズバンドクライ』のモデリング・描写が鮮烈だったので、なおさらそう感じるのかもしれない。
『ガールズバンドクライ』と比してルックは平凡に感じられたが、お話のアクの強さはほとんど互角といっていいレベルで、この『It's MyGO!!!!!』も相当エキセントリックなキャラクターが出てくるので驚いた。お話の変な感じはわたくしが近年みたアニメでも屈指だと思う。なんでこんなに空気悪いのにバンドやっとるねん…という素朴な驚き。『It's MyGO!!!!!』と比べると『けいおん!』も『ぼっち・ざ・ろっく!』も、『ガールズバンドクライ』さえも、みんななかよくてえらくみえる。最後まで仲良しにならないしそういう雰囲気もないことが驚きで、わたくしがいかに友情・友愛が普遍的でよいと暗黙のうちに了解していたか思い知らされた。
これは椎名立希さんの言動がかなりとげとげしく時に暴力的なこと、終盤ではそよも愛音を雑に扱うようになることで拍車がかかっているという気がするのだが、立希さんは手痛いしっぺ返しを食らう前に言動を改めたほうがよいし、愛音さんは雑に扱われるような集団からははやく距離をとったほうがいいと思った。バンドMyGO!!!!!の結成を描く誕生譚なのに、いつ導火線に火がついて決裂してもおかしくない雰囲気が最後まで持続しているの、変であり、味がある。
変といえば、前身バンドCRYCHICの解散理由がなかなか明かされないと思ったら、最終話のラストでその原因らしきものの一端が開示され、クリフハンガー的に終わるのも変だった。この不和と不信の運命共同体の成立を描いたアニメのあと、おそらく現実ではMyGO!!!!!さんがブシロードコンテンツとしてライブをやっていたりするのだろうが、それも変である。
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2020年代、それは大バンドアニメ時代…。