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かしこさ、やさしさ────アニメ『正反対な君と僕』感想

ピュア feat. 橋本絵莉子

 『正反対な君と僕』をみたので感想。

 元気あふれる女子高生、鈴木みゆは、物静かなクラスメイト、谷悠介のことが気になっていた。たびたび不自然にも会話を振って接近しようとしていたがうまくいかず、しかしふとしたきっかけで好意を伝えることに。いきなり付き合うことになった鈴木と谷は、不器用に距離を縮めていく。

 阿賀沢紅茶による同名漫画のアニメ化。アニメーション制作は『小市民シリーズ』のラパントラック、監督はテレビシリーズ初監督となる長友孝和。シリーズ構成は『さらざんまい』の内海照子。みやこまこによるキャラクターデザインは素朴でキュート。ときに大胆なデフォルメをきかせてキャラクターを描写するなど演出はコミカル。全体としてビビッドな色遣いの画面になっていて、それが主人公である鈴木のキャラクターとも重なって明るい雰囲気のアニメである。

 原作の連載開始は2022年で、かなり最近の漫画やなという感じだが、キャラクターたちが適切に他者を慮りながらコミュニケーションを重ねて関係を構築してゆく、暖かな賢さのようなものは、高松美咲『スキップとローファー』(連載開始は2018年)なんかと相通ずるものを感じる。『スキップとローファー』もこの『正反対な君と僕』も、主要人物はみんなかしこくて(かしこくないやつももちろんいるけど)いいやつである。

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 『スキップとローファー』が高校生同士の関係性とともに将来に向けての希望や不安にフォーカスをあてているのに対して、この『正反対な君と僕』は、すくなくともこのアニメ1期の時点では高校生としての「いま」の充実に大きな軸足がある。鈴木と谷の関係の変化からはじまった物語は、鈴木の友人である山田と、内気な図書委員、西との接触、それを横で眺める醒めた級友、平…と群像劇的な雰囲気になってくる。

 なんというか突飛な展開やキャラクターに過剰に試練を課すような雰囲気とも無縁で、キャラクターたちのかしこさもあいまってかなり安心して、ストレスフリーで眺めていられる作品でした。ラブコメの現代的な洗練の在り方としては、ひとつの正解にたどり着いているのかも。やさしさとはかしこさのなかに宿るのだと語っているような作劇は、ある意味残酷でもあるけれど…。