宇宙、日本、練馬

映画やアニメ、本の感想。ネタバレが含まていることがあります。

2022年4月に読んだ本と近況

やっているわよ。

先月の。

2022年3月に読んだ本と近況 - 宇宙、日本、練馬

印象に残った本

 一冊選ぶなら外山恒一全共闘以後』。外山が都知事選にでる以前の活動家としての来歴、本書でかなり詳細に書かれていてちょっと見方がかわりました。しかし、外山の選挙出馬というアイデアはとんでもない連中にハックされてしまったという意味で、想定外のアカン効果をもってしまったという気もするのだけど...。

読んだ本のまとめ

2022年4月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:3811ページ
ナイス数:106ナイス

https://bookmeter.com/users/418251/summary/monthly/2022/4

 

■社会をつくる「物語」の力 学者と作家の創造的対話 (光文社新書)
 2017年ごろに行われた対談の書籍化。それぞれが専門領域を離れたところで発話しているところもあり、やや雑語りでは?と突っ込みを入れたくなるところもあるが、『蓬莱学園』の裏話や『指輪物語』の解釈の話など、とりわけ興味深く読みました。
読了日:04月03日 著者:木村草太,新城カズマ
https://bookmeter.com/books/12666089

 

■人民は弱し 官吏は強し (新潮文庫)
 星新一が実父、星一に取材し、官僚たちに虐げられる様を描いた中編。実在の人物を登場させてはいるが、その描写はショートショートのように記号的で、ひたすらに星製薬が官僚の妨害に遭い続ける展開もやや単調、全体として平板な小説だと感じた。とはいえ星新一という書き手への興味は満たされたので、そういう意味では面白かったです。
読了日:04月05日 著者:星 新一
https://bookmeter.com/books/459854

 

■改訂版 全共闘以後
 1972年のあさま山荘事件を経て、全共闘に象徴される学生運動は下火になった…という通説に意を唱え、80年安保を経て90年前後に「ドブネズミたち」の反乱が湧き起こり、現代に接続していく様を描いた通史。「ドブネズミたち」の一人であり、また現在も挑発的な活動を続ける著者自身だからこそ記述できた80年代後半からのムーブメントの記述はやや冗長だが、むしろそこに本書の価値もあるだろう。大変おもしろく読みました。
読了日:04月07日 著者:外山恒一
https://bookmeter.com/books/13299826

 

■戦う姫、働く少女 (POSSE叢書 Vol.3)
 フェミニズムの目標は既に達成されたという認識にあるポストフェミニズム状況のなかで、主に映画のなかの女性の表象にその苦難と隘路、そして希望の萌芽を見出す。リーマンショック後の中産階級男性の没落と裏腹の専業主婦の不可能性、というロジックはなるほどにゃんという感じ。急ぎ足でぱらぱらめくりましたが、おもしろかったです。
読了日:04月08日 著者:河野 真太郎
https://bookmeter.com/books/11967955

 

■ヨーロッパ近代史 (ちくま新書)
 ルネサンス期から第一次世界大戦まで、8人の人物に焦点を当てておよそ500年の歴史を辿る。伝記的な記述と社会状況の記述とが巧みに併存していて、単なる列伝形式の叙述ではなく通史として読める、語りのうまさにまず驚く。一般向けの通史は読み物として優れているか否かで評価が左右されると思っているのだが、本書は見事な成功例だと思う。併せて川北『世界システム論講義』なんかを読むとかなりいい感じに複眼的な理解が得られそうな気がしますわね!

世界システム論講義 ──ヨーロッパと近代世界 (ちくま学芸文庫)

読了日:04月12日 著者:君塚 直隆
https://bookmeter.com/books/13321836

 

■すべてはタモリ、たけし、さんまから始まった (ちくま新書)
 タイトルからは想起しにくいが、『社会は笑う』の正統的アップデートみたいな趣で、同著で論じられていたマンザイブームのあたりはかなりわかりやすく整理されているし、その後のお笑い第七世代で落ち着く結論のトーンは明快に明るい。人気ナンバーワンの芸人が明石家さんまからサンドウィッチマンに交代したことを、「同質性の笑い」から「相互性の笑い」への変化と見立てる構図もクリア。大変おもしろく読みました。
読了日:04月13日 著者:太田 省一
https://bookmeter.com/books/18135766

 

■漢字と日本人 (文春新書)
 日本列島に住む人びとはいかに漢字を取り入れ、それを変容させつつ使用してきたのか、簡潔に論じる。明治期に西洋由来の言葉を取り入れる際に同音異義語が無数に生み出されたこと、また戦後の改革のなかで正字が略されていくなかでかたちと意味の関係性の混乱が生じたことなど、特に印象に残りました。
読了日:04月17日 著者:高島 俊男
https://bookmeter.com/books/545083

 

■マルドゥック・アノニマス 7 (ハヤカワ文庫 JA ウ 1-24)
 精神を囚われた名無しの男が、ついに闇から這い上がり、再び天上への階段を歩み出す。不穏な葬儀の場面とハンターの苦闘、そしてバロットの新たな戦いとを錯綜させて語ってみせる技巧はお見事という他なく、ただバロットの挿話はまだ微温的な雰囲気もあるので、今後いかなる強烈な試練が訪れるかと想像すると怖いわね。『血の収穫』に山田風太郎的異能バトルをぶち込んだ、現在進行形の最高の活劇のひとつです。
読了日:04月17日 著者:冲方
https://bookmeter.com/books/19300424

 

■ようちえんにいくんだもん
 図書館で新生活スタート特集みたいな感じで入口近くに配架されていたのを偶然手に取ったんですが、あまりの善性においおいと泣いてしまいました。
読了日:04月19日 著者:角野 栄子  文,佐古 百美 絵
https://bookmeter.com/books/4513383

 

マルチチュード 上 ~<帝国>時代の戦争と民主主義 (NHKブックス)
 ポスト冷戦期に生じた<帝国>というグローバルネットワークの支配と、それに抗う可能性としてのマルチチュードの可能性を説く。911以後、セキュリティが国家にとって至上命題化したことで戦争状態が日常化した、というような現状分析は説得的。グローバル企業は〈共〉を搾取しているというのも納得。そうした現状認識のスリリングさは今なお失われていないと感じます。
読了日:04月21日 著者:アントニオ・ネグリ,マイケル・ハート
https://bookmeter.com/books/438039

 

■お医者さんは教えてくれない 妊娠・出産の常識ウソ・ホント
 妊婦はコーヒーやアルコールを避けたほうがいいと言われるが、それはどの程度までなら胎児に影響を及ぼさないのか?その類の医師からの指導について、個別の研究結果を参照して回答する。本人の経験から疑問に感じた点を出発にしているので極めて実践的な感じ。山形浩生のブログで知ったが、そうでなければ敬遠しそうなタイトルがちょっとあかんのではという気もするのだけど…
読了日:04月23日 著者:エミリー オスター
https://bookmeter.com/books/8309736

 

■3.11後の叛乱 反原連・しばき隊・SEALDs (集英社新書)
 東日本大震災後に盛り上がりを見せた反原発や反ヘイトスピーチなどの運動を、その中心人物といっていい野間と、笠井潔が語る。野間が自分の関わった運動をルポルタージュ的に記述し、笠井がそれを大きな文脈に位置付けようとする…というような調子だが、噛み合ってるんだか噛み合っていないんだか判然とせず妙な味わいがある。とはいえ時代の空気が刻印されてておもしろく読みました。既に歴史ですわね。
読了日:04月23日 著者:笠井 潔,野間 易通
https://bookmeter.com/books/11067712

 

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