宇宙、日本、練馬

映画やアニメ、本の感想。ネタバレが含まていることがあります。

何度、夢破れても────『ウマ娘 プリティーダービー Season 2』感想

TVアニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 2』ANIMATION DERBY Season2 vol.2「木漏れ日のエール」

 『ウマ娘 プリティーダービー Season 2』をみたので感想。

 シーズン1で描かれた、スペシャルウィークたちの活躍のあと。ウマ娘トウカイテイオーは「無敗の三冠ウマ娘」を目指し、チームスピカの面々とともにトレーニングに励む。同じくチームスピカのメジロマックイーンも、前人未到春の天皇賞連覇に向けて走り出していた。

 2021年、放映中にゲーム版がリリースされ盛り上がりも最高潮に達したこのシーズン2は、おもにトウカイテイオーメジロマックイーンに焦点をあてつつ、ライスシャワーツインターボなどにも時折スポットをあて、シーズン1とくらべると群像劇的な雰囲気が増している。それはゲーム版の開発の進行にともなってさまざまなウマ娘のキャラクターが固まっていったからではないか。それは作品としてはポジティブに働いていて、単ににぎやかさを加えるだけでなくトウカイテイオーの故障からの復活劇というドラマを後押しする燃料にもなっている。

amberfeb.hatenablog.com

 2018年に放映されたシーズン1では、そもそもこの奇矯な作品世界を成立させなければという気負いと、しかしそのことへの照れのようなものがないまぜになって、ある種独特の雰囲気になっていたが、このシーズン2では「照れ」が後退し、トウカイテイオーのドラマはよりシリアス味の強いものとして演出されている。

 故障からの復活劇はシーズン1でも「現実ではおこりえなかった」サイレンススズカの悲劇の克服として描かれたが、トウカイテイオーの復活は現実の出来事を参照軸にしているので、その意味ではより強い強度をもっていると率直に感じた。

 その復活劇に一役買うことになる、オールカマーで勝利したツインターボの叫びは、現実にあったことを下敷きにしてはいるが、(現実の競走馬の)トウカイテイオーとはまったく関係のない出来事で、この二つをブリッジしてみせたところに、単に現実の悲劇を塗り替える二次創作的想像力ではない、批評的といってもいい想像力のはたらきをみた。それはラストの有馬記念での勝利が、きっとメジロマックイーンにもなにかを届けただろうという希望を描くことにもなっている。

 メインスタッフはシーズン1とおおむね共通だが、アニメーション制作はP.A.WORKSからスタジオKAIへと変更。雰囲気もおおむね共通しているように感じたが、シーズン1との差分としては、ロングショットでウマ娘をとらえるカットで3DCGでモデリングされる場面が挿入されるようになったことや、舐めるようなアングルのショットが随所でみられるようになったことが大きく目についた。とはいえ画面もドラマもシーズン1から正統進化したような趣があり、総じて楽しくみました。

 

関連

 

amberfeb.hatenablog.com

amberfeb.hatenablog.com