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恋と直感────『劇場版 Gのレコンギスタ I 行け!コア・ファイター』感想

劇場版『Gのレコンギスタ Ⅰ』「行け!コア・ファイター」 (セル版)

 『劇場版 Gのレコンギスタ I 行け!コア・ファイター』をみたので感想。

 高度な技術力をもち、宇宙にまでその領域を広げた文明が一度滅び、再興しつつある世界。地球の人々は、宇宙と地球を結ぶ軌道エレベーターであるキャピタル・タワーからもたらされる前世紀の遺物や、エネルギー源であるフォトン・バッテリーの恩恵にあずかりながら暮らしていた。あるとき、所属不明の謎の人型兵器=モビルスーツが、キャピタル・タワー近くに降下してくる。その奪取を目指しているらしい「海賊部隊」の襲撃が、キャピタル・タワーの運行長官の息子にして飛び級士官学校に入学した少年、ベルリ・ゼナムの運命を大きく変える。

 2014年から翌15年にかけてTV放映された『ガンダム Gのレコンギスタ』の劇場版5部作の1作目。公開は2019年で、以降、2022年の完結まで断続的に公開されていった。この1作目ではTVシリーズの第5話までがまとめられていて、物語の端緒から、キャピタル・タワー周辺での小競り合いを経て、ベルリが海賊部隊になしくずし的に同行することになり、共に宇宙にあがるまえが描かれる。

 テレビシリーズの5話分を90分程度にまとめているので、そんなに省略されている感じはせず(クリム・ニックの「ジャベリンありがとうね!」は残念ながら割愛されていたが…)、総集編としてはかなり贅沢な時間の使い方がされている。これはテレビシリーズの時点でかなり密度が濃かったことを証してもいるという気がして、ほぼすべての挿話が物語をたどるのに必要なパーツになっていたことを改めて感じた。

 その「わかりにくさ」で話題になったTVシリーズから、特段わかりやすくなったという感じはしないが、わたくし自身はTVシリーズを視聴しているので全体の勢力図もなんとなく理解しており、その意味でTVシリーズ視聴時よりは物語上の対抗関係も理解できている…ような気がする。まあ序盤は複数勢力の合従連衡が描かれる前段階だし、TVシリーズもそこまで複雑な理解を要しないというのもあるかも。こういう風に総集編としてみると、ベルリが自身の直感というか衝動にかなりストレートに従って行動しているのがよりはっきり伝わってくる。それが『Gのレコンギスタ』におけるニュータイプの資質なのか。このベルリの恋を『スター・ウォーズ』を想起させる仕方でうまくずらして、物語の焦点から外したのは結構巧妙かも。

 吉田健一によるキャラクターデザインはエバーグリーンで、10年の時間を感じさせないキュートさ。吉田のキャラクターに代表される全体のルックがこの作品の大きな魅力になっていることは疑いない。キャラクターの発話も、富野由悠季の作品でしか出せない味がある。これが、先般みた安彦良和総監督のアニメ版『THE ORIGIN』だと全然ちがう味になっているので不思議!

 

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