宇宙、日本、練馬

映画やアニメ、本の感想。ネタバレが含まていることがあります。

2014-01-01から1年間の記事一覧

アニメ『ピンポン』感想 相棒がいなけりゃ卓球はできない

アニメ『ピンポン』の最終話を遅ればせながら観ました。良すぎた。どんなに言葉をつくしても足りないくらい良すぎた。とはいえ「良すぎた」という感想だけを残しておくのもあれだと思うので、感想を書いとこうと思います。

『もののけ姫』と日本の近代―エボシとジコ坊から考える

今日、金曜ロードショーで『もののけ姫』を観ました。『もののけ姫』はもちろん、中世日本を舞台にした時代劇なわけなんですが、それが描くもの、提示しているものは極めて現代的なのではないか。端的にいえば、日本にとっての近代化とはなんだったのか、そ…

2014年6月に読んだ本

今月は何かと気分が落ち込むことが多くて、逃げるように新書を読んでた気がします。読んだ本も格差社会だの監獄だのとあんまり明るい本じゃなかった気もするけど、月末に読んだ本のおかげでちょっぴり気分は上向きかもしれないな、とも思いましたね。以下で…

神の街の「果てしなき渇き」――『シティ・オブ・ゴッド』 感想

先日、『渇き。』を観た。 『渇き。』 果てしなき狂気の穴 - 宇宙、日本、練馬 観ている間も、観終わってからもいろんな映画を連想したのだけれども、一番感触が似ているのは『シティ・オブ・ゴッド』じゃないかな―、と何となく思ったのでふと見直してみたく…

果てしなき狂気の穴―『渇き。』感想 

中島哲也監督『渇き。』をみた。役所広司演じる元刑事、藤島昭和が失踪した娘=加奈子(小松菜奈)を探す中で、娘の信じられない所業が明らかになる...とあらすじだけ聞くと、わりとありがちなミステリーもののような気がするが、ありがちなそれとは一線を…

ミシェル・フーコー『監獄の誕生』を読む 後編

監獄の誕生―監視と処罰 作者: ミシェル・フーコー,Michel Foucault,田村俶 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1977/09 メディア: 単行本 購入: 3人 クリック: 124回 この商品を含むブログ (217件) を見る ミシェル・フーコー『監獄の誕生』を読む 前編 - 宇宙…

ミシェル・フーコー『監獄の誕生―監視と処罰』を読む 前編

監獄の誕生―監視と処罰 作者: ミシェル・フーコー,Michel Foucault,田村俶 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1977/09 メディア: 単行本 購入: 3人 クリック: 124回 この商品を含むブログ (217件) を見る ミシェル・フーコー『監獄の誕生』を2年ぶりに通読し…

「可能性の獣」としてのニュータイプ―『機動戦士ガンダムUC』感想 

『機動戦士ガンダムUC EP7 虹の彼方に』をBlu-rayで視聴。結局映画館へ足を運ぶことはできなかったんですが、いや、よかったです。2010年から足掛け4年。正直長かった。しかし見事にクオリティを超絶ハイレベルで持続させつつ完結させたなと。せっかくの機会…

絶体絶命でこそヒーローは輝く!―『X-MEN: フューチャー&パスト』感想 

『X-MEN: フューチャー&パスト』を3D吹き替え版でみた。観る前はファーストジェネレーションと旧3部作のキャストが勢ぞろいする超豪華な布陣に期待半分、過去と未来を接続することでめちゃくちゃ大味なお話になってしまうんじゃないかという不安半分といっ…

2014年5月に読んだ本

今月読んだ本のまとめ。今月はあんまり読書が進まなかったというのが正直なところ。特段きちんとなにかについて理解が深まったとはいえないけれど、「他者」について考えたひと月だったような気もする。以下で印象に残った本と読んだ本の感想を。 先月のはこ…

『ザ・マスター』における三人のマスター

『ザ・マスター』をはじめて見てから、もう一年が経とうとしている。初見ではとにかく俳優の演技と美しいカットにばっかり目が行ってしまって、この映画の言わんとするところ、物語自体の枠組みについては正直よく理解できていなかった。そのあとBlu-rayで幾…

アニメ『氷菓』が描く、学校という〈場〉――折木奉太郎と福部里志の関係から考える

昨日twitterでアニメ版『氷菓』についての語りがとっても盛り上がった。僕はこの『氷菓』がアニメの中で5本の指に入ろうかというレベルで好きなのですが、今まで特に文章は書いたりはしてこなかったんですね。でも書かないと自分にとって大事なことを忘れて…

吉浦康裕監督作品における「他者」―『水のコトバ』から『アルモニ』まで

前回の記事の続きということで、オールナイトイベントの感想を。トークショーに関しては、メモをもとにまとめたのでそちらをご覧ください。 「新文芸坐×アニメスタイル セレクションVol.55 吉浦康裕の軌跡」 吉浦康裕監督のトークショーのまとめ! - 宇宙、…

「新文芸坐×アニメスタイル セレクションVol.55 吉浦康裕の軌跡」 吉浦康裕監督のトークショーのまとめ!

昨日の深夜から本日の朝方にかけて行われた「新文芸坐×アニメスタイル セレクションVol.55 吉浦康裕の軌跡」 に行ってきました。3月16日のオールナイト上映の際にも、吉浦監督がいらっしゃってトークしたわけなんですが、今回は監督自身の作品をほぼ全作上…

栄光と破滅―『レイジング・ブル』感想

『レイジング・ブル』をレンタルして視聴。『ウルフ・オブ・ウォールストリート』を見て以来、スコセッシ監督の過去作を見ないとなーと漠然と思っていたのと、デニーロvsスタローンの『リベンジ・マッチ』も公開されたことだしということで観ました。簡単に…

アニメ『ピンポン』感想 アクマの努力とその限界

アニメ『ピンポン』、最新5話まで視聴。僕は今リアルタイムでこの『ピンポン』と『キャプテン・アース』を視聴しているが、『キャプテン・アース』が先が読めない面白さがあるけれども、『ピンポン』は先が読めていても、なおアニメとしての面白さをなんら…

『茄子 スーツケースの渡り鳥』はもっともっと評価されるべき!

2003年に公開された映画『茄子 アンダルシアの夏』は、日テレ系列で猛烈な宣伝が行われていた記憶があるので、ご存じの方も多いかもしれない。まぎれもなく傑作だと思う。 『茄子 アンダルシアの夏』が傑作なワケ - 宇宙、日本、練馬 しかし、その続編が存在…

『輪るピングドラム』における「運命」ー『まなざしの地獄』から考える

『輪るピングドラム』は、「語り」たくなるアニメだと思う。以下の記事で自分なりに感想をまとめてみたけど、まだ語りつくせた気がしない。その「語りつくせなさ」が、本作のなによりの魅力なんだろうと思う。 『輪るピングドラム』感想 きっと何者にもなれ…

御岳山に行ったよ

せっかくのゴールデンウィークなので、それっぽいことをしよう、ということで、友人二人と東京都青梅市は御岳山に行ってまいりました。写真は御岳駅。さすが大型連休、びっくりするくらいの人が。そんなに青梅に行きたいですか?(失礼)

『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』 アクションは楽しく、物語は刺激的

『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』を2D・字幕版でみました。正直、前作は嫌いじゃないんですけど、敵役レッド・スカルがあんまり魅力的に感じなかったりするところとか、中盤以降の単調な展開とかでそんなに手放しで好きといえる作品じゃな…

2014年4月に読んだ本

4月は3月以上にバタバタしていたので、あんまり読書が進んでない気がしたんですが、意外と読めたなというのが正直な感想です。 どんな本を読んだかというと、ウィトゲンシュタインの概説やらデリダやら、哲学方面に手を出してみたんですが、どうにもものにな…

『輪るピングドラム』メモ 「きっと何者にもなれないお前たちに告げる」への解釈

先日、『輪るピングドラム』を観終えて、その感想を以下の記事に書きました。 『輪るピングドラム』感想 きっと何者にもなれない人のための「生存戦略」 - 宇宙、日本、練馬 この記事では、作中で最も印象に残った台詞である「きっと何者にもなれないお前た…

東京国立博物館 特別展「栄西と建仁寺」に行ったよ

今日は後輩たちと、上野の東京国立博物館で開催されている「栄西と建仁寺」展に行ってきました。一応ざっくり感想を書いておこうと思います。

3Dの臨場感とシリアスな物語―『アメイジング・スパイダーマン2』感想 

『アメイジング・スパイダーマン2』を3D字幕版で鑑賞。前作で提示した明るくて軽妙なスパイダーマン像を継承しつつも、物語はシリアスな方面に振ったかなという印象。そしてそれは正しい方向性だったなと思う。以下でネタバレしつつ感想を書いておこうと思…

きっと何者にもなれない人のための「生存戦略」――『輪るピングドラム』感想

『輪るピングドラム』を今更見終わった。ただただ圧倒された。「運命」、「呪い」、「家族」、「愛」…取り扱っている主題はとてもたくさんあると思う。見終えたばかりの今は、それらの意味するところをはっきりとはつかめていない気もする。とりあえず今は、…

懐古趣味だっていいじゃない―『ミッドナイト・イン・パリ』感想 

僕は一応歴史を専門にしている物好きなので、古いものは基本的に好きです。懐古趣味とまではいかないかもしれませんが、古いものには古いというだけで魅力を感じる。そんな僕にとって、『ミッドナイト・イン・パリ』はとても心に響く映画でした。その理由は…

「実話」の強度ー『艦これ』と「実話系映画」からみえるもの

今*1、映画、特に洋画で実話モノがアツい*2。 僕も今年見に行った映画は意外なほど実話モノが多くて、改めておどろいた。その実話モノの魅力を、ちょっと考えたいなと思う。 そのためのヒントを得るために、『艦隊これくしょん』を参照する。突飛に思えるか…

タクトとダイチ、二人の主人公―『キャプテン・アース』感想

さきほど2話の放送が終わった『キャプテン・アース』期待通り、いや期待をはるかに超えて面白い。 五十嵐×榎戸アニメの、これまでと、これから―『キャプテン・アース』によせて - 宇宙、日本、練馬 放送前にこんな記事を書くくらい楽しみにしていたくらいな…

『ローン・サバイバー』 ネイビー・シールズ孤立無援

『ローン・サバイバー』を鑑賞。アフガニスタンでのタリバン幹部暗殺作戦の顛末を描く。『アメリカン・ハッスル』といい、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』といい、今年はなんだか実話モノを見る機会が多い。どれも結構好きなタイプの映画だったんだけ…

2014年3月に読んだ本

3月は結構バタバタしてたんですが、意外と本を読めたなーと思います。でもなんだか乱読気味になってしまって、それぞれの本を十全に自分のものにできたかというとかなり微妙なところなんですが、まあ見識はちょっとは広まったんじゃないかと思います。という…