宇宙、日本、練馬

映画やアニメ、本の感想。ネタバレが含まていることがあります。

2021年9月に読んだ本と近況

出口なし!

先月の。

2021年8月に読んだ本と近況 - 宇宙、日本、練馬

印象に残った本

 一冊選ぶなら、くやしいけどこれですね。この赤い自己啓発本を手に、階級闘争をやっていこうぜ、おい。

amberfeb.hatenablog.com

 

読んだ本のまとめ

2021年9月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:2041ページ
ナイス数:89ナイス

https://bookmeter.com/users/418251/summary/monthly

 

感染症はぼくらの社会をいかに変えてきたのか
 フランス史を専門とする著者が、感染症にかかわる歴史研究を成果を踏まえ、かつて感染症がいかに社会を変えてきたのか叙述する。扱われるのは、ペスト、天然痘コレラ、インフルエンザ、新興感染症。それぞれコンパクトに感染爆発が起こった状況やそのインパクトが簡潔にまとめられている。本書が世に出たのは今からおよそ一年前だが、しかし出口がみえないのはほんとうにしんどいですね。
読了日:09月03日 著者:小田中直樹
https://bookmeter.com/books/16369975

 

文部科学省-揺らぐ日本の教育と学術 (中公新書 2635)
 文部科学省という組織を、教育・学術に比重を置く文部省系と、技術振興にかかわる科学技術庁系という二つの方向性のせめぎ合う場と見立て、内閣府などの「間接統治」によってうまく教育行政におけるイニシアチブをにぎれない現状を活写する。「教育再生」をかかげてめちゃくちゃやっとる政治のおもちゃにされとるのがほんとうに気の毒だとは思うが、やられっぱなしなのは文科省の体質もあるんじゃないのという感じはほんとうにそうやなと思いました。
読了日:09月03日 著者:青木 栄一
https://bookmeter.com/books/17579573

 

■イギリス1960年代-ビートルズからサッチャーへ (中公新書, 2643)
 豊かな社会のなかで享受された消費文化。それが個人主義的な志向を生み、新自由主義的な思潮が受け入れられる素地を準備した。60年代の自由な空気は女性の社会進出を進めたが、一方で「許容する社会」に対する反動保守の流れも生み出す。かくして、60年代の文化革命は密かにサッチャリズムへの道を舗装していたのであった。全体の構図と論の構成が巧みでたいへんおもしろく読みました。

 

読了日:09月08日 著者:小関 隆
https://bookmeter.com/books/17898850

 

■ダークウェブ・アンダーグラウンド 社会秩序を逸脱するネット暗部の住人たち
 インターネットにうごめくアングラカルチャーの紹介本。暗号文化からはじまり違法通販サイト、児童ポルノ新反動主義と、単純に知らないトピックばかりだったのでへえ〜という感じ。とりわけインターネット都市伝説の趣のある殺人請負サイトの虚像がたいへんおもしろいなと思いました。
読了日:09月09日 著者:木澤 佐登志
https://bookmeter.com/books/13317700

 

■県警VS暴力団 刑事が見たヤクザの真実 (文春新書)

 工藤会の裁判がらみで話題になっていたので手に取った本。
 北九州市工藤会対策にあたっていた刑事が、その経験と暴力団対策のあるべき姿を説く。単に構成員を逮捕するのではなく、社会の中に暴力団の居場所をなくし、警察対暴力団ではなくて市民対暴力団、という構図をつくることが肝要だというのはなるほどなーという感じ。暴力団とは無関係の市民を暴力に巻き込む存在なのだという主張に、著者の強い怒りを感じた。
読了日:09月19日 著者:藪 正孝
https://bookmeter.com/books/15792081

 

■武器としての「資本論
 21世紀の階級闘争、いくわよ!!!!!!!!みたいな勢いの赤い自己啓発本。これは褒めています。資本制社会とはなにか、資本の本源的蓄積とは、新自由主義がいかに我々の魂まで包摂するに至ったか…『資本論』はいま我々が携えて現在と対峙するための武器なのだ!というアジテーションをテクストを参照しつつ語る誠実さ。わたくしは白井のこれまでの仕事を高く買っていたわけではありませんが、これはよい本だと思います。やっていこうぜ、我々の感性のレジスタンスをよ。
読了日:09月21日 著者:白井 聡
https://bookmeter.com/books/15501126

 

■くまの根: 隈研吾・東大最終講義 10の対話
 隈研吾の最終連続講義として行われた、ゲストを呼んでの10回の対談を収める。とりわけおもしろかったのは、上野千鶴子回、藤森照信御厨貴回。上野の恐るべき整理能力で戦後の住宅をめぐる思想の流れがぐわっと提示されたり、建築史上に隈研吾を「微分」の建築家と本人を前に位置付ける藤森の語りは特に印象に残る。
読了日:09月25日 著者:
https://bookmeter.com/books/17695818


読書メーター
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近況

先月に続いて、もはやゲームに没頭する生活習慣が形成されつつあり、まずいですね。

さよなら友だち——『ファイナルファンタジーXV』感想 - 宇宙、日本、練馬

ありふれた喪失のために——『岬のマヨイガ』感想 - 宇宙、日本、練馬

ビヨンド・ザ・マトリックス——『シャン・チー/テン・リングスの伝説』感想 - 宇宙、日本、練馬

着地のもたつき——『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』感想 - 宇宙、日本、練馬

 

来月の。

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