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ドラマなきドラマ────『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』感想

TVアニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』ANIMATION DERBY Season 3 vol.2「アコガレChallenge Dash!!」

 『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』をみたので感想。

 我々の世界の競走馬の名前をもって生まれたウマ娘たちが、レース=トゥインクル・シリーズで鎬を削る世界。メジロマックイーントウカイテイオーの活躍に憧れてトゥインクル・シリーズへと足を踏み入れたキタサンブラックサトノダイヤモンドは、友情をはぐくみながら、ときにライバルとして戦ってゆく。

 ソーシャルゲームを中心に展開する『ウマ娘 プリティーダービー』のテレビアニメシリーズの第3作目。2021年放映の2期に続いて、2023年に放映。監督は1期から継続して及川啓が務め、アニメーション制作は2期に続いてスタジオKAI。

 シリーズが続くにしたがってレース描写は洗練されてきていて、このシーズン3では第1話のドゥラメンテの全力疾走の迫力が群を抜いてすばらしく、ソーシャルゲームも盛り上がる中で制作にも一層の気合がこもっていたのではないかと推察する。

 一方で、ドラマはややソーシャルゲームの宣伝という調子がこれまでのシリーズと比べて強くなっているような気もして、キタサンブラックを主役に据えたことも、ゲームの展開との兼ね合いが大きいのではないかという感じだが、そのことがテレビシリーズとしては大きな制約になっていたのではないかと感じさせる。

 2期のトウカイテイオーとくらべ、競走馬のキタサンブラックには(馬主の北島三郎がらみの盛り上がりを除けば)わかりやすいドラマが不在で、それゆえ「ピークアウト」という主題を盛り込むことにしたのだろうが、それが明らかになるのは後半だし、1期のサイレンススズカのようなわかりやすい悲劇性もなく、やや弱かったか。

 1期でサイレンススズカの悲劇を乗り越えるという歴史のイフを描き、また2期では現実を参照したかたちでトウカイテイオーの復活を劇的に描いたが、このシーズン3ではそうした作品の中核に強烈なドラマが不在で、それが全体としての印象を弱めているような気がする。

 一方で、このP.A.WORKSからスタジオKAIにかけてのラインとは別に、CygamesPicturesによる『ROAD TO THE TOP』、『新時代の扉』はドラマの点でも作画の水準でも大いに洗練された作品を世に送り出しており、また4月から放映の『シンデレラグレイ』もCygamesPicturesの制作だから、P.A.WORKS・スタジオKAIの仕事は一定の役割を果たし終えた、ということなのかもしれない。

 

 

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