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エピローグと冒険────『ラブライブ!The School Idol Movie』感想

ラブライブ!The School Idol Movie

 『ラブライブ!The School Idol Movie』をみたので感想。

 スクールアイドルの祭典、ラブライブを制覇し、3年生の卒業をもって活動を終えようとしていたμ's。しかし、卒業式の日に舞い込んだ、第3回ラブライブの開催と、それに向けたプロモーションに協力してほしいという要請により、延長戦のようなかたちでμ'sの面々はしばし活動を続けることになる。そして舞台は海外へ…。

 2010年から『電撃G's magazine』誌上ではじまったメディアミックスプロジェクトの劇場版。2013年のテレビシリーズ第1期、2014年の第2期に続く、堂々の完結編という位置づけ。公開は2015年。メインスタッフもほぼ共通で、監督に京極尚彦、脚本に花田十輝興行収入は28億円超だから深夜アニメの映画化としては異例の商業的成功を収めたといったよく、いまから10年前、『ラブライブ!』というコンテンツがいかに盛り上がっていたか、その一端が垣間見える。

 テレビシリーズでかなりまとまりよく終わっていた(結部で劇場版は示唆されてはいるが)ので、この劇場版はよくいってエピローグ、悪くいってしまえば蛇足という感じも否めない。劇場版で海外に進出するのは『映画 けいおん!』を思いおこしたが、『けいおん!』では海外旅行そのものが映画の大きなモチーフだったのに対し、この劇場版『ラブライブ!』ではあくまで前半の盛り上がりをつくるためのフックのような位置づけ。

 時たまミュージカル調の演出で楽曲の歌唱に入るシークエンスもあるものの、それが作品全体のトーンを決定しているというわけではなく、雰囲気は全体として弛緩し、ファンムービーの域を出ないつくりになっているのはやや残念。徹底してミュージカル映画になっていれば大きなインパクトがあったと思うが、それが難しいのもわかる。とはいえ、μ'sを続けるか否か、という問いがテレビシリーズ2期に続いて浮上するのも、話の蒸し返し感というか、工夫に欠けると感じさせた。

 大きな支持を得たシリーズなのだから、もっと演出の水準でもドラマの水準でも冒険的なことをしてほしいと思ってしまうのだが、まあそれはないものねだりでしょう。

 

 

 

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