宇宙、日本、練馬

映画やアニメ、本の感想。ネタバレが含まていることがあります。

2021年7月に読んだ本と近況

くされオリンピック、くたばりやがれ。

先月の。

2021年6月に読んだ本と近況 - 宇宙、日本、練馬

 印象に残った本

  一冊選ぶなら吉見俊哉『東京復興ならず』。『東京裏返し』、『五輪と戦後』とあわせて、ありえたかもしれないもう一つの東京を幻視させる、極めて刺激的な書だと思います。ちょっとまとまった文章に残しておきたいが...。

読んだ本のまとめ

2021年7月の読書メーター
読んだ本の数:13冊
読んだページ数:3466ページ
ナイス数:94ナイス

https://bookmeter.com/users/418251/summary/monthly

 

 ■新プロパガンダ論 (ゲンロン叢書)
 2018年から2020年までに、政治にかかわる情報戦略、プロパガンダを題材に行われた対談の書籍化。自民党2019や、あいちトリエンナーレなどなど、さまざまな出来事を取り上げていて、時評的な色合いが濃い印象。辻田があえて西田に疑問を投げかけてプロレス的なやり取りにしてるんじゃないかという場面が散見され、おもしろく読みました。
読了日:07月03日 著者:辻田真佐憲,西田亮介
https://bookmeter.com/books/17330082

 

 ■言いなりにならない江戸の百姓たち: 「幸谷村酒井家文書」から読み解く
 『百姓たちの江戸時代』の著者が、居住する松戸市を題材に、江戸時代の百姓たちがいかに事務処理を行い、身の回りでおこる紛争を解決していったのかを、実際の史料を引きながら解説する。利発な高校生くらいを対象としていると思うけど、地元の小中学生とかすげえおもしろく読める気がするなあ。啓蒙的でよい本です。
読了日:07月03日 著者:渡辺 尚志
https://bookmeter.com/books/18043984

 

 ■小説読解入門-『ミドルマーチ』教養講義 (中公新書 2641)
 名著『批評理論入門』の15年越しの姉妹編は、ジョージ・エリオット『ミドルマーチ』を題材に、小説の技巧や深みを丹念に読み解く、これまた大変啓発的な本でございました。ジョージ・エリオットの教養によってテクストに書き込まれた仕掛け、あるいは後代の我々が引きうる補助線によって明らかになるおもしろみ。なにより『ミドルマーチ』を読みたくなるのがえらい。
読了日:07月08日 著者:廣野 由美子
https://bookmeter.com/books/17726171

 

 ■忘れられたベストセラー作家
 明治から現在までのベストセラーを辿るエッセイ。なぜこれが売れたかわからない的なことが直裁に書いてあってウケる。ある種の大衆文学史的な読み方もできるのかもしれません。
読了日:07月10日 著者:小谷野敦
https://bookmeter.com/books/12685614

 

 ■パリのパサージュ-過ぎ去った夢の痕跡 (中公文庫 か 56-15)
 2008年に現存していたパサージュを巡ったエッセイプラスアルファ。文庫版では写真が白黒で残念…と思ったら巻末にQRコードが付されていて、特設サイトで書籍では割愛された写真含めてカラーで見れるんですね。このサービスはたいへんありがたい。
読了日:07月13日 著者:鹿島 茂
https://bookmeter.com/books/17898880

 

 ■現代日本の批評 1975-2001
 『ゲンロン』に掲載された座談会の書籍化。掲載時に読んでいたのだけれど、序盤は『近代日本の批評』と自分たちの位置関係みたいな話が入るのでややだるいが、(プレ)ニューアカから90年代まですっと読めて見通しがよくなる感じ。東浩紀小林よしのりへの高評価はやっぱり意外だなあ。
読了日:07月14日 著者:東 浩紀,市川 真人,大澤 聡,福嶋 亮大
https://bookmeter.com/books/12179464

 

 ■現代日本の批評 2001-2016
下巻ではオタクの思想とストリートの思想が並立していくさまが語られる。ここから約5年を経て、批評的なるものの存在感はますます後退している気がする。本書でも扱われる、若手論客がアイドルにベットしたのはほんと短絡的でイージーな道だったと思うし、そうしたモードはますます支配的になっていったのがここ数年よな、となんとなく思う。
読了日:07月14日 著者:東 浩紀,市川 真人,大澤 聡,佐々木 敦,さやわか
https://bookmeter.com/books/12573618

 

 ■トンデモ偽史の世界
 90年代からゼロ年代にかけてかかれた、偽史をめぐるエッセイをまとめたもの。ピルトダウン人、旧石器捏造、イースター島のモアイをめぐるトンデモなどなど、扱う話題は多岐にわたる。山田長政の事績って眉唾な感じだったのね…というのは知らんかったので驚きました。
読了日:07月16日 著者:原田 実
https://bookmeter.com/books/435830

 

 ■超空気支配社会 (文春新書 1316)
 2014年から2021年にウェブ媒体などに掲載された小文をまとめた評論集。『新プロパガンダ論』と結構話題が重なっている。特におもしろく読んだのは中国のレッドツーリズムの話や、評論家的なるもののロールモデルとしての半藤一利、などなど。
読了日:07月17日 著者:辻田 真佐憲
https://bookmeter.com/books/18078033

 

 ■東京復興ならず-文化首都構想の挫折と戦後日本 (中公新書 2649)
 敗戦後、「より高く、より速い」都市をめざし、経済成長に邁進した東京。しかしそれは、失われたものの回復を目指す「復興」ではなく、まったく別の東京を生み出そうとする営為だった。本書が探るのは、都市計画家や大学人によって構想されつつも、ついぞ実現しなかった「文化都市」としての東京の姿であり、それが経済成長をめざす力学の中で塗りつぶされていく過程である。過去のなかに未来の可能性を見出そうとする本書の視線を通して、まさにいま焼け野原になろうとする東京を眺めることはめちゃくちゃアクチュアルだと思います。
読了日:07月18日 著者:吉見 俊哉
https://bookmeter.com/books/18045267

■古市くん、社会学を学び直しなさい!! (光文社新書)
古市が著名な社会学者12名と対談する。それぞれトーンの差はあれ古市を慮って説教しているような調子があるが、結局その後のふるまいをみるとこの説教は届かなかったんだろうな。上野に専門性を磨けと言われたり、小熊に安楽な立場からの冷笑をやめろと言われたり、それぞれの指摘はいまの彼にも当てはまるでしょ。
読了日:07月20日 著者:古市 憲寿
https://bookmeter.com/books/11196782

 

 ■植民地から建国へ 19世紀初頭まで (岩波新書)
 全4巻の通史シリーズの一巻。先史時代から植民地時代を経て、独立戦争米英戦争の19世紀初頭までを扱う。大西洋世界という大きな地理的文脈のなかで、合衆国の誕生をあつかい、またのちに神話化してゆく星条旗をめぐる挿話や独立戦争時のエピソードなど、記憶をめぐる歴史学の成果を引用しているあたり、非常に今っぽい通史になっていると感じる。
読了日:07月20日 著者:和田 光弘
https://bookmeter.com/books/13702274

 

 ■「感想文」から「文学批評」へ: 高校・大学から始める批評入門
 ある程度歴史の流れに則して、いくつかの批評理論のイントロダクションを行う。読解の具体例としてしばしば「ごんぎつね」が引かれ、高校生向けを意識してるのだろうなとは思うが、どうも議論の運びがすんなりいってない感触があり読むのに難儀しました。簡潔に伝えるためとはいえ舌足らずでは?と思うところもあり…。イーグルトン『文学とは何か』でも再読したほうがよかったかもしれません。
読了日:07月27日 著者:小林真大
https://bookmeter.com/books/17338461


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