宇宙、日本、練馬

映画やアニメ、本の感想。ネタバレが含まていることがあります。

2017年の回顧(と展望)

  はい、というわけで2017年の総括という感じで。

 2017年新作映画ベスト10

  1. 『ダンケルク』
  2. 『ベイビー・ドライバー』
  3. 『ブレードランナー 2049』
  4. 『LOGAN/ローガン』
  5. 『ラ・ラ・ランド』
  6. 『劇場版 響け!ユーフォニアム〜届けたいメロディ〜』
  7. 『新感染 ファイナル・エクスプレス』
  8. 『沈黙 -サイレンス-』
  9. 『夜明け告げるルーのうた』
  10. 『傷物語〈III 冷血篇〉』

 

  『ダンケルク』は、大文字の歴史に振り回され生きようともがく極めて泥臭い、いわば形而下の戦争をカメラに写し、同時に総力戦とは何か、という形而上の問い――それはすなわち、異なる時間と空間を一つの物語に編成してしまう力である――にも回答した傑作。美しい画、スリリングかつ緊張感ある音響と、映画としての吸引力が段違いだったと思います。

  『ベイビー・ドライバー』と『ブレードランナー2049』は、不自由である我々の生をいかにして生きればよいのか、という共通の問いが根底にあると思います。前者はポップミュージックを縁に、現実に対して異なるリズムの流れる世界を立ち上げ、それを軽妙に称揚してみせた。後者はまがい物に囲まれまがい物の生を生き、使い捨てられる定めにある男――それは私たちの似姿であるように思われます――を通して、まがい物に宿るかもしれない意味のようなものをみせてくれたという気がします。『ブレードランナー』という作品自体に後追いでしか経験できず、いわば他人事のようにデッカードの物語と出会った世代の人間として、Kの立ち位置に共振するところ大でした。

 『LOGAN/ローガン』は、これまで(たとえばマーベルの諸作品と比べると)順調とはいえない歴史を辿ってきたシリーズが、それゆえに語りえた一つの決着でした。コミック的なるものが無残に破られる現実(それはある人物の凄惨で無意味な死に託されているように思われます)に対して、それでもなおコミック的なもの、あるいは西部劇に仮託されたフィクションそれ自体を称揚する物語は、これまでのシリーズすべてを救ったように思います。

 『ラ・ラ・ランド』は冒頭の多幸感あふれるミュージカルにやられてしまいました。

 『劇場版 響け!ユーフォニアム〜届けたいメロディ〜』はテレビアニメの総集編ですが、エピソードの取捨選択が巧みで、見事に一本の映画になっていたように思います。とりわけ、メインのストーリーラインにそれほど関わらない、「ふつうの人」の挿話をしっかり拾い上げていたことに強い信頼感をおぼえました。

 『新感染 ファイナル・エクスプレス』は、(おそらく)現代韓国にとってアクチュアルであり、同時に普遍的な寓話でもある物語を、極めてスリリングに語りきった作品だったように思います。

 『沈黙 -サイレンス-』は、原作におけるロドリゴの語りによって貶められていたキチジローを、カメラと窪塚洋介の演技が救い出していたことが強く記憶に残っています。

 『夜明け告げるルーのうた』は、いまだに自分のなかでこの作品を語る言葉を見つけられずにいます。その理由のひとつは、僕が東日本大震災をどう語っていいのかわからないからだろうと思います。昨年から、ポスト震災映画とでもいうべき作品群が次々公開されているように思いますが、そのなかでも突出して不気味であり、かつ直接的に「波にさらわれる街」を描いたこと、そのことは強く心にひっかかりました。

 『傷物語〈III 冷血篇〉』は、度重なる延期によって、時代と共振した作品になってしまった、そういう映画だと思います。吸血鬼を近代のメタファーと見立て、黒船来航からいま・ここに至る日本近現代史のピークをかつての東京オリンピックに託し、そこで人間と近代とが血みどろの格闘を演じる。三部作になったことで冗長になり緊張感を欠いた場面もありますが、東京オリンピックのイメージが過去と未来とに分裂しているいまだからこそ、語ることのできる物語を語ったなと思います。

 ベスト10には入れられませんでしたが、『最後のジェダイ』は非常に好きです。

自宅視聴映画ベスト10

  1.  『エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE』
  2. クリーピー 偽りの隣人』
  3. 『国際市場で逢いましょう』
  4. 『コングレス未来学会議』
  5. セデック・バレ
  6. オールド・ボーイ
  7. 『複製された男』
  8. 残穢
  9. パンチドランク・ラブ
  10. 『ドライヴ』

 

2017年にみた映画まとめ

 初見は40本。

 

自宅視聴まとめ

47本。

 

2017年に視聴したTVアニメまとめ

 

それと個人誌を今年も出しました。

 

読んだ本まとめ

今年の10冊

 

読書メーターさんによると

読んだ本の数:292冊
読んだページ数:84064

だったようです。

月ごとのまとめ

2017年1月に読んだ本と近況 - 宇宙、日本、練馬

2017年2月に読んだ本と近況 - 宇宙、日本、練馬

2017年3月に読んだ本と近況 - 宇宙、日本、練馬

2017年4月に読んだ本と近況 - 宇宙、日本、練馬

2017年5月に読んだ本と近況 - 宇宙、日本、練馬

2017年6月に読んだ本と近況 - 宇宙、日本、練馬

2017年7月に読んだ本と近況 - 宇宙、日本、練馬

2017年8月に読んだ本と近況 - 宇宙、日本、練馬

2017年9月に読んだ本と近況 - 宇宙、日本、練馬

2017年10月に読んだ本と近況 - 宇宙、日本、練馬

2017年11月に読んだ本と近況 - 宇宙、日本、練馬

2017年12月に読んだ本と近況 - 宇宙、日本、練馬